約 15,388 件
https://w.atwiki.jp/nanoharow/pages/632.html
Mの姿/マイナスからのリスタート ◆gFOqjEuBs6 ――CLOCK OVER―― 鳴り響いた電子音は、超加速の終了を告げる合図。 誰も居ない平野まで駆け抜けて、ライダーシステムが限界を感じた。 距離にすれば、1キロ走ったかどうか。普段の天道ならば、大した距離では無い。 されど、今は状況が特別だ。クロックアップの時間制限と、なのはという名の足かせ。 それらを抱えて走り抜けた天道には、既に戦える程の体力は残されて居ない。 立ち止まると同時に、天道の身体から赤の装甲と抱えていたなのはが離れた。 「あれ……ここは? 今さっきまでキングが……」 「クロックアップで離脱した。お前を守りながらあの二人と同時に戦うのは無理だ」 「離脱……? 天道さんが……?」 らしくない。普段の天道ならば、逃げたりはしない筈だ。 例え状況が不利であっても、カブトという力がある限り、天道は戦う。 そういう人間だと思っていただけに、意外な撤退には正直面食らった。 ……否、先程の天道の動揺を考えれば、それも無理は無いのかもしれない。 本人は表には出していないつもりだろうが、アンジールが妹を殺されたと聞いた時―― 天道は確かに動揺していた。カブトの仮面の下で、きっと想像も出来ない様な表情をしていた。 それが一体何故なのかなど、なのはには解る訳も無いのだが……。 「今のアンジールとキングは、まず間違いなく潰し合う。どちらが勝ったとしても、俺が倒せばいいだけの話だ」 「天道さん……」 強がってはいるが、やはりいつもの天道では無かった。 何と言うか、らしくない。どういう訳か、不自然さを抱かせる。 逃げるしか無かった自分が許せないから? 戦っても勝ち目が無かったと自分自身で気付いているから? そういった罪悪感と、アンジールの一件。それらが、天道に確かな動揺を与えているようだった。 されど、二人に立ち止まって居る時間などは与えられなかった。 「――待て、何か聞こえるぞ!」 「え……あ、これは……泣き声……?」 言われてみれば、微かに聞こえる。 女の子が、すすり泣いているような声だ。 ここからそう遠くない。このままでは危険だ。 この場で泣き声を響かせると言うのは、自分の居場所を教えているようなもの。 最悪の事態になる前に駆け付けて、泣き声の主を保護しなければならない。 何故泣いているのか、話を聞くのは保護してからでも遅くは無い。 そして、そう考えているのは天道も同じらしい。 二人はすぐに、声の元へと駆け出した。 それから間もなく、二人は声の主を発見した。 一目見た時、あまりの惨たらしさに口を塞いでしまった。 紫の髪の少女が、全裸で四肢を縛り付けられていたのだ。 それも、四肢からは止めどなく血液が溢れ出して、腹部に至っては貫通されている。 相当なショックだったのだろう。失禁した形跡すら見られる。 最早少女は、なのは達が目の前に来ても何の反応も見せなかった。 ただただ、何事かを呟きながら涙を流し続けるだけ。 口に下着を詰め込まれて居るせいで、何を呟いているのかは解らなかったが……。 もうこの子は壊れている。身体だけでなく、心も。 なのはにそう思わせるには十分だった。 「この子……あの時の……」 この少女には、見覚えがある。 あの時――このデスゲームが始まってすぐに出会った少女だ。 自分があの時この子の話をきちんと聞いて居れば、きっとこの子はここまで追い込まれなかった。 この子がこうなってしまった原因の一つは自分でもある。出来る事なら、何とかして助けたい。 だけど……今自分に出来るのは、ケリュケイオンによるヒーリングだけだ。 あの時キングは、なのはのグローブ――ケリュケイオンを見落していた。 だから、このデバイスだけはキングに奪われずに済んだのだ。 口に詰め込まれた下着を引き抜いて、掌を腹部に翳す。 そうして初めて、少女の呟きが聞きとれるものとなった。 「エリオ……シグナム……私が……殺したから、殺される……家族、殺された、から…… 私……悪かった、の……かな……もう、誰も居ない……一人ぼっち……わた、し……」 「一人ぼっちじゃない……私が居る! 貴女には私が、私達がそばにいる……!」 この子が何らかの理由でエリオを殺してしまった事は、もう知っている。 その上でシグナムも殺してしまったのならば、それは確かに許されざる罪だ。 だけど、今ここで死んでいい命なんてある訳が無いし、これ以上誰にも死んで欲しくは無い。 この子は自分が犯した罪と向き合って、きちんと罪を償わなければならない。 だから、まだここで殺す訳には行かないのだ。 「なんで……どうして……こんな事に……もう、死ねば……いいのに、私なんて……」 「死ぬなんて言っちゃ駄目だよ! 私はまだ貴女の名前も聞いてない……ねぇ、名前は? 名前を教えて? 私の名前は高町なのは……誰も居ないなら、私が貴女の友達になるから……」 ようやく、少女がぴくりと反応した。 ぱちりと瞬きをして、一際大粒の涙がその瞳から零れ落ちた。 それからすぐに、少女が再び口を開いた。 「わたし……私は、柊……かがみ……お願い、なのは……私を、殺して……もう、嫌なの……」 「かがみ……かがみだね? 悪いけど、そのお願いは聞けないよ。嫌って言われても、私はかがみを助ける」 「エリオ……シグナム……それから、眼帯の女の子……私が、殺した……だから、私は……もう……」 「その話なら後で聞くから……だから、生きることを諦めないで。辛い事があったなら、一人で背負い込まないで……」 どんなにヒーリングを続けても、そんな物はその場凌ぎにしかならなかった。 腹部から、手足から、止めどなく溢れ続ける血液を止めるには、回復量が少なすぎる。 この少女、既に完全に諦めきっている。完全に絶望してしまっている。 だけど高町なのはという人間は、まだ諦めてはいない。 そんな時だった。 「そいつを助ける手段、無い訳じゃ無い」 背後から声を掛けたのは、天道だった。 手に持っているのは、見覚えのない機械。 そんな機械に何が出来るのかと訝しむが、天道の表情は真剣そのものだった。 なのはがかがみに手当をしている間、天道は今自分に出来る事を考えていた。 魔法が使えない自分に、かがみを救う事は出来ない。あと一応裸である事も尊重した。 全ての女性は等しく美しいと考える天道は、意外とフェミニストなのであった。 さて、そんな事はどうでもいい。なのはがかがみの手当てをしている間に、天道が探るものは、二つのデイバッグ。 つい先程、クロックアップで離脱する直前にキングから奪い取ったデイバッグだ。 この中に何か回復の手段が入って居ればいいのだが、それらしいものは出て来ない。 デバイスらしきものは見当たるのだが……と、そんな時であった。 「これは……」 ガチャリと音を立てて取り出したのは、白い腕輪。 どうやら腕に装着する機会らしく、大げさなディスクがくっついていた。 これはリリカル遊戯王GXの世界に登場するデュエルディスクと呼ばれる機械なのだが、天道はそれを知らない。 何の機械なのかは解らないが、危なそうな気配は無い。好奇心からか、天道はそれを左腕に装着した。 されど、何も起こりはしない。どういう訳かとデイバッグを漁るが、説明書の類は見当たらない。 そこで気付いたのは、盤上にセットされた一枚の緑のカードであった。 「……治療の神、ディアン・ケト……」 不意に、そのカード名を呟いた。 瞬間、身体に残った疲労が消えて行くのを感じる。 カブトとしての戦闘による疲労、クロックアップによる疲労。 それらの疲労が溜まっていた筈の身体が、一気に軽くなるようだった。 同時に、天道はこのディスクの全てを理解した。 「成程な……そういう事か」 セットされた緑のカード。効果は、ライフポイントを1000回復するというもの。 ライフポイントの基準がいくらなのかは解らないが、これは使えるかもしれない。 一度天道は仮面ライダー龍騎に変身したが、このカードも恐らくはあの時と同じ手合いだろう。 龍騎だって、デッキからカードを引き抜いてドラグバイザーに装填しなければならなかった。 だが見たところ、龍騎の様にカードを収納するデッキケースは見当たらない。 そして、カードがセットされた腕輪を装着した瞬間に、天道の体力は回復した。 以上の事から考えるに、このカードは既にセットされた使用状態にあったのだろう。 かといってカードが無くならない事を考えると、誰か―― 恐らくキングが一度回復に使って、そのままデイバッグに放り込んでいた可能性が高い。 回復量から考えても、恐らく1000という数字はそう小さいものでもない。 ちらとかがみを見れば、今にも死にそうな表情であった。 そんな理由があって、現在に至る。 天道の言葉に期待したなのはであったが、天道は期待を裏切る言葉を発した。 「だが、そいつに使ってやる義理は無いな」 「そんな……!」 「そいつは三人も人を殺してる。そんな奴を仲間に入れてどうするんだ」 「それは……罪は償う事は出来ます……この子だって――」 「そいつには無理だ。生きる気が無い人間を助けた所で、また同じ事を繰り返すだけだからな」 確かに、天道の言う事は正しい。 死にたがっているかがみを無理に生き返らせても、逆に今度は世界を憎むかも知れない。 何故自分を殺してくれなかった。何故こんな辛い世界で、自分を生き長らえさせた、と。 事実、かがみはこれまでも周囲を呪い続けて、その結果として三人も殺してしまったのだろう。 そんな状態のかがみを助ける事は、確かに得策とは思えない。 だけど…… 「それでも、私はこの子を助けたい……! 後の事は、私が責任を取るから――」 「お前では話にならん」 「な……天道さん!?」 なのはの言葉を遮って、天道が進み出た。 全裸のかがみの前に立って、真っ直ぐにその顔を見下ろす。 鋭い視線で射抜くように見据えて、言葉を続けた。 「おい、お前……“かがみ”とか言ったな。死ねば赦されるとでも思ってるのか?」 「死なないと……あの子、私……許さない……だって、私も……浅倉、許せないから…… つかさ……殺された、から……だから、シグ……ナム、殺した私……死なないと……」 「あの子ってまさか……はやてちゃ――」 「甘えるのもいい加減にしろ! お前がそいつに殺されたとして、お前が殺した三人はどうなる……!? 例えお前を殺しても、そいつはお前を絶対に赦さない。死んだ者は還って来ないんだ。心が晴れる訳が無い。 だが、そいつが仇を取る為にお前を殺せば、死んだ三人はどう思う!? 絶対に喜びはしない筈だ……!」 なのはの言葉を遮ったのは、怒号であった。 天道総司という人間が怒鳴る姿を、なのはは初めて見た。 いつだって冷静に的確な判断を下していた筈の天道だからこそ、怒鳴るなどとは思って居なかった。 そういったイメージも手伝って、天道の迫力に拍車が掛っているように見えた。 だけど、きっとそれは錯覚などでは無いのだろう。 「生きた、って……皆、私を裏切る……だって、皆……別の世界の……人、だから……なのはも……」 「私は裏切らない……! もう、かがみを離さないから……だから、私を信じて? お願い!」 「でも……万丈、目……だって……バクラだって、私……裏切られたから……」 「だからって何だ。そいつらが裏切ったからって、高町までお前を裏切ると誰が決めた?」 おかしいな、となのはは思う。 先程まではかがみを助けるつもりは無いなんて言っていたのに、今の天道の言葉はまるで真逆に聞こえる。 まるでかがみを改心させて、助けようとしているような。助ける為に、かがみに罪と向かい合わせる為に。 もしかすると、天道は最初からそうするつもりだったのではなかろうかとすら思ってしまう程であった。 「……と、言った所で生きる気力の無いお前には何を言っても無駄だな。お前がどうしても死にたいと言うなら、俺は止めはしない。 だが……お前がここで死んでしまえば、お前の言いたい事や、伝えたい事……誰にも何も、永遠に伝える事は出来なくなってしまう」 「伝えたい……こと……そんなの……もう、私には……」 「かがみ、良く考えて……? 友達の事、家族の事……元の世界で待ってる皆や、ここで戦ってるお友達の事……本当にそれでいいの?」 恐らく、先の放送で呼ばれた「柊つかさ」というのは、かがみの家族だろう。 それはかがみの言葉を聞いて居れば想像がつくし、だからこそここまで壊れてしまったのも納得が行く。 誰だって家族が死んでしまって、平然としていられる訳が無いのだ。 それもかがみの様に元が完全な一般人なら、尚の事。 だけど、それでも生き残った人の事……死んでしまった家族の想いを、考えて欲しい。 「伝え、たい事……ほん、とは……沢山ある……こなただって、生きてる……戦ってる、って…… でも……でも……人を、殺した……こんな、私が……今更……こなたと……出来る訳ない……出来る、訳……」 「かがみ……事情があったにしろ、人を殺した事は赦されないし……多分、私だって貴女を赦す事は出来ないと思う…… だけど、それでも……貴女を想ってくれるお友達の事や、死んでしまった大切な人の想い、忘れないで欲しいんだ。 私の友達だって、何度もいがみ合って、ぶつかり合って……それでも、罪を背負ってでも、最後は解りあえたから……」 フェイトの事。はやて達ヴォルケンリッターの事。 彼女らはかがみとは状況も、罪の重さも全く違う。それくらいはなのはにだって解る。 なのははきっと、エリオやシグナム、チンクを殺された事……きっとかがみを赦す事は出来ない。 だけど、それでもかがみにはその罪を背負って、前を向いて生きて欲しいと思う。 だからなのはは、こんなにもかがみを殺したくないと必死になれるのだ。 死んだ三人の想い、ここでかがみが死んで報われるものでもないのだから。 だけど、ヒーリングを続けているとは言え、かがみが現在進行形で衰弱しているのもまた事実。 このまま話が長引けば、本当に死んでしまうかもしれない。それだけは避けたいのだが……。 そう考え始めた矢先、天道も状況を察したのか、顔色を変えて話始めた。 「良く聞けかがみ。お前にまだ生きたいと願う意思があるなら……罪を償いたいと思う心があるなら…… 例え他の誰が裏切ろうと、俺と高町なのはだけは絶対にお前を裏切らない。離れていても、俺達がずっとそばに居てやる」 「えっ……う、あ……あぁ……そんな、都合良い……話……今更……うぐ……う、ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――」 とっくに崩壊していた涙腺から、濁流の様な涙が零れ落ちた。 まるで子供の様に、その口から呻き声を漏らして……泣き崩れた。 今までずっと辛い思いをしてきたかがみに、初めてかけられた優しい言葉。 本心から、救いたいと願ってくれる者の言葉。 だけど、後戻りは出来ないと言う事実……重圧。 それらがかがみに、最後の壁を作って抵抗させる。 今なら解る。かがみは、本当に死にたいなんて言っていた訳ではない。 本当はこの子だって、戻りたいのだ。昨日までの、平和だった頃の自分に。 友達たちと笑いあって居たであろう頃に――。 不意に、天道が右手の人差し指をそっと掲げた。 空を軽く見上げながら、言葉を続ける。 「おばあちゃんが言っていた。……嘆くなら抗え。悔やむなら進め。不幸だと嘆くだけなら誰でも出来る……ってな。 いいかかがみ。世界はお前の敵じゃない……困難は多いだろうが、お前にはその困難に立ち向かう義務がある。 そしてそれを背負って生きて行く限り、お前には何処の世界でだって生きて行く権利がある」 「う、ぁ……だって……私……わた、しぃ……三人も……ひっく……ぐすっ……」 「その三人の事を、絶対に忘れるな。そして、その三人の分まで生きて、戦い抜け。それがお前に出来る償いだ」 ただ生きて行くだけではない。 嘆くくらいなら、抗え。悔やむくらいなら、前に進め。 殺してしまった三人の呪縛に捉われてがんじがらめにされるのではなく。 未来を生きたいと願う希望の光と、背負った三人の命、罪という名の闇。 自分の中の光と闇と……その両方を背負って、走り続けなければならない。 それこそがこれからかがみがしなければならない、終わる事の無い戦い。 自分自身を見失わない様に、自分の心と戦い続けなければならないのだ。 ――それきりかがみは喋らなくなった。 ただ聞こえるのは、声にならない嗚咽と、すすり泣く声だけだ。 一人で何を考えているのかは、なのは達の知る所では無い。 だけど、生きたいと願うのであれば……何事かを告げる筈。 逆に、自分達の説得でも駄目だったなら……かがみは何も言わないだろう。 果たして、その答えは―― ◆ 嗚呼、私にはまだ、こんなにも想ってくれる人間が居たんだ。 なのはには、あんな酷い事をしたのに……裏切られたと思って、裏切っていたのは私の方だったのに。 それでも目の前の二人は、自分を信じてくれると言っている。裏切らないと言ってくれている。 その言葉は、今でも完全に信じる事は出来ないし……心の何処かでは、未だに疑っている。 だけど同時に、信じたいと願う自分も居る。 (わたし……生きていても、いいのかな……ここに居ても、いいのかな) もうバクラは居ない。 つかさだって居ないし、こなただってどうか解らない。 だけど、自分にも生きる事が赦されるなら……生きていたいと思う。 そして、ここで生きていていいのなら。ここに居てもいいのなら。 犯してしまった罪はきっと、永遠に消えないのだろうけど……それでも。 誰かと一緒に、誰かの為に、死んでしまった三人の分まで戦いたい。 自分自身と戦って、生き抜きたい……きっと皆、都合が良いって言うと思うけど……。 あの関西弁の少女に会うのも、殺してしまった人の関係者に会うのも、迷惑を掛けてしまった皆に会うのも、正直に言えば怖い。 また殺されるんじゃないだろうか。自分なんて信じて貰えないんじゃないだろうか。 きっとこれまで関わった皆から、都合が良いって罵られる筈だ。 正直言って怖い。怖くて怖くて、また心がどうにかなってしまいそうだ。 だけど、それでも逃げる訳には行かない。自分はそれに立ち向かわなくちゃならないから。 罪を背負うって言うのはきっと……そういう事でもあるのだと思うから。 だから、私は――。 「なの、は……ありが、とう……私、最後に……あんたに、会えて……良かった」 「かがみ……最後だなんて言わないで! これからも、一緒に戦おう……一緒にゲームから脱出しよう!?」 「わか……るから……私、も……駄目、だって……だから、私の分、まで……なのは……生き、て……」 「かがみ……かがみ!? そんなの駄目だよ……かがみぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!」 悲しいかな、手遅れだ。 もう何をしても、間に合わない。自分でも解る。 体中からこれだけ血液を流したのだから、当然だ。 生きる気力はあっても、考え方を変える事が出来ても、現実には敵わない。 だけど最後の最後で本当の自分を取り戻す事が出来た。 そして、最後になのはにお礼を言えただけで、もう満足だ。 嗚呼、今の自分は、ちゃんと笑う事が出来てるだろうか。 最後くらいは、笑顔でいたいから…… だから―― 「――ありがとう」 それだけ言って、かがみは意識を手放した。 と言うよりも、意識を保って居られなくなったのだ。 喋り続けた所為か、意識の混濁が余計に早まっているように思える。 だけど、意識が途切れる寸前に、男の声が聞こえた気がした。 「合格だ、かがみ」 何が合格なのか……今となっては何も解らない。 もう何も考える事など出来ないのだから……。 ◆ 柊かがみが意識を手放してから、既に数十分が経過していた。 天道総司も、高町なのはも、今はその場に腰掛けて、休憩をとって居た。 二人の表情に、先程までの緊迫感は無い。どちらも今はただ身体を休める事に集中しているようだった。 本来ならば、かがみの事でそう簡単には立ち直れないのだろうが……。 「天道さん、最初からかがみを助けるつもりだったんでしょう?」 「勘違いするな。俺は生きる意志を持つものしか助けるつもりは無い」 「でも、最初からかがみを見捨てようとはしなかった…… それは、かがみが本当は優しい子だって気付いてたからじゃないですか?」 なのはが問うが、天道はそれ以上何も答えなかった。 無駄話をしている暇があるなら、体力を回復させろ、と。まるでそう言っているようだった。 今の天道は、ただ目を瞑り腕を組んで、瞑想でもしているかのように俯いているのみ。 もしかしたら何事かを考えているのかも知れないが……それは天道にしか解らない。 二人が無言になれば、すやすやと聞こえてくるのは安らかな寝息。 紫髪の少女が身体になのはの上着の着物をかけられて、ぐっすりと眠っていた。 「デュエルディスク……カードさえあれば、何度でも使える支給品。正直、こんな便利な物があったなんて……」 「と言っても、かがみの場合はあと何度か使わないと完全には回復しないだろうがな」 「その……かがみの傷、やっぱりはやてちゃんがやったんでしょうか」 「それに関しては、起きてから直接かがみに話を聞くしかないな」 犯人はほぼはやてで間違い無いのだが……天道はそうだとは言わない。 それも当然だろう。天道だって、はやてがなのはの友達だと言う事は理解している。 絶対にはやてがやったのだと言う確信があるのなら話は別だが、そうでないなら想像だけで迂闊な事は言えない。 かがみが気を失う瞬間に、天道が咄嗟にデュエルディスクを装着させ、そのカード名を読みあげた上で、効果を発動させた。 天道による「発動」の掛け声を認識したディスクは、装着者のかがみを回復させたのだ。 咄嗟の機転のお陰で助かりはしたものの、下手をすればこのまま死んでいた可能性だってある。 そんな事を、あの八神はやてがした。シグナムの仇を取る為といっても、明らかに“やり過ぎ”だ。 悪い冗談だと信じたい、と……そう思っているのは二人ともであった。 「何にせよ、今は考えても無駄だ。放送まであと僅かだ。それを聞いたら、俺はこのまま西へ向かう」 「西……? でも、地図を見る限りじゃ、ここより先は……」 「俺の予想が正しければ……エリアの端と端は繋がっているかも知れない」 「え……それはどうしてですか?」 「かがみを拘束するのに使われていた服、見たところホテルの従業員の制服だ。 なのは、お前が最初にかがみと出会った時、確か制服を着てたって言ってたよな?」 「成程……つまりかがみは一度ホテルに行って着替えてから、この平野まで戻って来た……?」 「ああ。そしてここにかがみを襲った犯人は居ない。何も無い平野だ、この周囲に隠れている訳でもあるまい」 天道の言っているのはつまり、こういう事だ。 かがみはなのはと出会ってから、どういう訳か一度ホテルへ向かった。 そこでホテルの従業員の制服を手にし、それを着て移動を開始した。 だが、移動途中に何者かに襲撃され、この場に置き去りにされてしまった。 とするならば、その犯人は何処へ逃げた? この周囲に隠れる場所は無い。 かがみの傷を見たところ、恐らくやられたのはそんなに前という訳でもないだろう。 そう考えれば、考えられるのは、このエリアの向こう側はそのまま東側に繋がっているという可能性。 プレシアの事だ。エリアの外に出たからって首輪爆発なんてつまらない事はしないだろうし、十分にあり得る。 「それに、ゆりかごに向かうなら東側から行った方が圧倒的に近い」 「……それだけじゃない。もしも犯人がはやてちゃんなら、どうしてこんな酷い事をしたのか…… もしそこで出会えたら、きちんと本人から話を聞く事も出来るかもしれない」 これで話はまとまった。 まずは放送を聞き、それからかがみから事情を聞く。 そしてすぐに西へ向かい、エリアが繋がっているのかどうかを確認。 それからゆりかごへ向かい、ヴィヴィオを救出する。 これが当面の彼らの行動方針であった。 キングから奪い取ったデイバッグをその手に抱え、二人は星空を見上げていた。 各々の思考を巡らせながら、この無情なデスゲームに憤りを募らせる。 こんなゲームは絶対に終わらせなければならない。 その為にも、自分達は戦わなければならないのだ。 放送まであと僅かだ。それを聞いたら、すぐにでも動きださなければならない。 そして、そう考える高町なのはのデイバッグの中には―― 彼女にとっての、最高の切り札が今も眠っているのであった。 【1日目 真夜中】 【現在地 D-1 平野】 【高町なのは@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 【状態】健康 【装備】とがめの着物@小話メドレー、すずかのヘアバンド@魔法少女リリカルなのは、ケリュケイオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【道具】支給品一式×2、レイジングハート・エクセリオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS、グラーフアイゼン@魔法少女リリカルなのはStrikerS、デルタギア一式・デルタギアケース@魔法少女リリカルなのは マスカレード 【思考】 基本:誰も犠牲にせず極力多数の仲間と脱出する。絶対にヴィヴィオを救出する。 1.放送を聞いた後で、かがみから話を聞く。 2.西へ向かい、エリアの端と端が繋がっている事を確かめる。 3.天道と共にゆりかごに向かい、ヴィヴィオを探し出して救出する。 4.出来れば銀色の鬼(メビウス)と片翼の男(アンジール)と話をしたいが……。 5.極力全ての戦えない人を保護して仲間を集める。 6.フェイトちゃんもはやてちゃんも……本当にゲームに乗ったの? 【備考】 ※金居とキングを警戒しています。キングは最悪の相手だと判断しています。 ※はやて(StS)に疑念を抱いています。きちんとお話して確認したいと考えています。 【天道総司@魔法少女リリカルなのは マスカレード】 【状態】健康 【装備】ライダーベルト(カブト)@魔法少女リリカルなのは マスカレード 【道具】支給品一式、スティンガー×5@魔法少女リリカルなのはStrikerS、カブトゼクター@魔法少女リリカルなのは マスカレード 【思考】 基本:出来る限り全ての命を救い、帰還する。 1.放送を聞いた後で、かがみから話を聞く。 2.西へ向かい、エリアの端と端が繋がっている事を確かめる。 3.なのはと共にゆりかごに向かい、ヴィヴィオを救出、何としても親子二人を再会させる。 4.一応あとで赤と銀の戦士(メビウス)の思惑を確かめる。 5.キング及びアンジールは倒さなければならない敵。 6.エネルを捜して、他の参加者に危害を加える前に止める。 【備考】 ※首輪に名前が書かれていると知りました。 ※天道自身は“集団の仲間になった”のではなく、“集団を自分の仲間にした”感覚です。 ※PT事件とJS事件のあらましを知りました(フェイトの出自は伏せられたので知りません)。 ※なのはとヴィヴィオの間の出来事をだいたい把握しました。 【柊かがみ@なの☆すた】 【状態】全裸、両手首の腱及び両アキレス腱切断(回復中)、腹部に深い刺し傷(回復中)、つかさの死への悲しみ、サイドポニー 【装備】デュエルディスク@リリカル遊戯王GX、治療の神 ディアン・ケト(ディスクにセットした状態)@リリカル遊戯王GX 【道具】ホテル従業員の制服 【思考】 基本:出来るなら、生きて行きたい。 0.ありがとう、なのは……。 1.……(気絶中)。 【備考】 ※一部の参加者やそれに関する知識が消されています(たびかさなる心身に対するショックで思い出す可能性があります)。 ※デルタギアを装着した事により電気を放つ能力を得ました。 ※変身時間の制限にある程度気付きました(1時間~1時間30分程時間を空ける必要がある事まで把握)。 ※エリアの端と端が繋がっている事に気が付きました。 【チーム:スターズチーム】 【共通思考】 基本:出来る限り全ての命を保護した上で、殺し合いから脱出する。 1.まずは現状確認。 2.協力して首輪を解除、脱出の手がかりを探す。 3.出来る限り戦えない全ての参加者を保護。 4.工場に向かい首輪を解析する。 【備考】 ※それぞれが違う世界から呼ばれたという事に気付きました。 ※チーム内で、ある程度の共通見解が生まれました。 友好的:なのは、(もう一人のなのは)、(フェイト)、(もう一人のフェイト)、(もう一人のはやて)、ユーノ、(クロノ)、(シグナム)、ヴィータ、(シャマル)、(ザフィーラ)、スバル、(ティアナ)、(エリオ)、(キャロ)、(ギンガ)、ヴィヴィオ、(ペンウッド)、天道、(弁慶)、(ゼスト)、(インテグラル)、(C.C.)、(ルルーシュ)、(カレン)、(シャーリー) 敵対的:アーカード、(アンデルセン)、(浅倉)、相川始、エネル、キング、アンジール 要注意:クアットロ、はやて、銀色の鬼?、金居、(矢車) それ以外:(チンク)・(ディエチ)・(ルーテシア)、柊かがみ、(ギルモン・アグモン) Back Mの姿/鏡 時系列順で読む Next こなたとリインと男の娘 投下順で読む Next こなたとリインと男の娘 アンジール・ヒューレー Next 闇よりの使者 高町なのは(StS) Next 救済N/EGO~eyes glazing over 天道総司 Next 救済N/EGO~eyes glazing over キング Next 闇よりの使者 柊かがみ Next 救済N/EGO~eyes glazing over
https://w.atwiki.jp/heisei-rider/pages/31.html
第一回放送までの時系列順SS 【オープニング】 NO. タイトル 作者 登場人物 000 オープニング 死神博士、天道総司、影山瞬、草加雅人 日中 NO. タイトル 作者 登場人物 001 ふたりのP/団結 ◆LQDxlRz1mQ 一条薫、照井竜 002 My name is ◆LQDxlRz1mQ 擬態天道 003 光を背負い ◆LuuKRM2PEg 天道総司 004 Wアクション/二人の不幸重なるとき ◆LQDxlRz1mQ 鳴海亜樹子、野上良太郎(U,K) 005 闇を背負う男と光の名前を持つ女 ◆LuuKRM2PEg 矢車想、光夏海 006 共同戦線 ◆LQDxlRz1mQ 秋山蓮、北岡秀一、キング 007 俺を動かす力 ◆YlAksA5vE6 剣崎一真 008 宇宙一迷惑な男 ◆LQDxlRz1mQ アポロガイスト 009 ゆれるH/守りたい世界 ◆LQDxlRz1mQ 左翔太郎、木場勇治、相川始 010 正義ノミカタ ◆LQDxlRz1mQ 橘朔也、名護啓介 011 その力、誰の為に ◆MiRaiTlHUI 海堂直也、小野寺ユウスケ、ゴ・ガドル・バ 012 笑顔とお宝 ◆BaIp17LTls 五代雄介、海東大樹 013 運命の適合者 ◆jsHdnEuSpg 三原修二、リュウタロス、桐生豪 014 二人の船出 ◆VbYNTlLnDE 津上翔一、日高仁志 015 エレジー♪支えてくれるひと ◆Wy4qMnIQy2 加賀美新、紅渡、園咲冴子 016 滂沱 ◆M5iWBd9Yc2 紅音也、乾巧、園咲霧彦、木野薫、ン・ダグバ・ゼバ、浅倉威 017 カテゴリーK ◆7pf62HiyTE 金居 018 白の鬼札 ◆MiRaiTlHU 志村純一、園田真理、草加雅人、フィリップ、海東大樹、五代雄介 019 near miss ◆LQDxlRz1mQ 剣崎一真、東條悟、矢車想、光夏海、ネガタロス 020 巡り会う世界 ◆LuuKRM2PEg 門矢士、北條透、牙王、アポロガイスト 022 代償 ◆yZO9tKZZhA モモタロス、ズ・ゴオマ・グ 023 人を護るためのライダー ◆LQDxlRz1mQ 日高仁志、海堂直也、小野寺ユウスケ、城戸真司、小沢澄子 024 Sへの想い/踊る緑の怪人 ◆VbYNTlLnDE 葦原涼、霧島美穂、財津原蔵王丸 025 魔王 が 動き出す 日 ◆LuuKRM2PEg 乃木怜治 026 止まらないB/もえるホテル ◆N3gVt389NE 天美あきら、村上峡児、鳴海亜樹子 、野上良太郎(U,K) 032 カンタータ・オルビス ◆LQDxlRz1mQ 紅渡、加賀美新、園咲冴子 午後 NO. タイトル 作者 登場人物 021 差し伸べる手 ◆LQDxlRz1mQ 間宮麗奈、桐矢京介 027 Iは流れる/朽ち果てる ◆LQDxlRz1mQ 井坂深紅朗、志村純一 028 勝利か敗北か ◆LuuKRM2PEg 剣崎一真、東條悟、矢車想、光夏海、ネガタロス、擬態天道 029 『クウガ』と『アギト』 ◆LQDxlRz1mQ 津上翔一、ズ・ゴオマ・グ 030 Xの可能性/悲しみを背負い ◆LuuKRM2PEg 左翔太郎 031 ただの人間 ◆LQDxlRz1mQ 門矢士、北條透 033 そして、Xする思考 ◆LQDxlRz1mQ 霧島美穂、鳴海亜樹子、葦原涼、天美あきら、野上良太郎(U,K)、村上峡児 034 動き出す闇 ◆VbYNTlLnDE 紅音也、乾巧、園咲霧彦、木野薫、ン・ダグバ・ゼバ、浅倉威 035 仮面ライダーになりたくない男 ◆LQDxlRz1mQ 三原修二、リュウタロス 036 二人のジョーカー ◆MiRaiTlHUI 左翔太郎、相川始、ゴ・ガドル・バ 037 敵か味方か? ◆LQDxlRz1mQ 桐生豪、金居 038 風 ◆LQDxlRz1mQ 天道総司、紅音也、乾巧、園咲霧彦、ン・ダグバ・ゼバ 039 究極の幕開け ◆LuuKRM2PEg 秋山蓮、北岡秀一、キング、五代雄介、海東大樹、草加雅人、フィリップ、 040 Try-Action Delta form ◆7pf62HiyTE 三原修二、リュウタロス 041 悪の組織は永遠に ◆MiRaiTlHUI 剣崎一真、東條悟、矢車想、光夏海、ネガタロス、擬態天道 042 三様 ◆7pf62HiyTE ゴ・ガドル・バ、ン・ダグバ・ゼバ、ズ・ゴウマ・グ、津上翔一 044 Rの定義/心に響く声 ◆LuuKRM2PEg 一条薫、照井竜、間宮麗奈、桐矢京介 045 亜樹子オン・ザ・ライ ◆Wy4qMnIQy2 霧島美穂、鳴海亜樹子、乃木怜治 046 Kの名を胸に刻め/闇に消える光 ◆/5Zb5jrQi2 門矢士、北條透、剣崎一真、東條悟、矢車想、光夏海、擬態天道 047 加速度円舞曲♯王と牙の運命 ◆7pf62HiyTE 紅渡、園咲冴子、牙王、キング 048 嘆きの龍騎 ◆7pf62HiyTE 城戸真司、小沢澄子、桐生豪 049 メモリと勘違いと呪い ◆LuuKRM2PEg 日高仁志、海堂直也、小野寺ユウスケ、橘朔也、名護啓介 050 Round ZERO ~KING AND JOKER ◆LuuKRM2PEg 金居、志村純一、天美あきら、野上良太郎(U,K)、村上峡児 051 綺想曲♭もう一人のカブトと音也 ◆7pf62HiyTE 門矢士、天道総司、乾巧、紅音也、擬態天道 052 時(いま)を越えて… ◆7pf62HiyTE 浅倉威 054 閃光の刻 ◆Wy4qMnIQy2 北條透、東條悟、矢車想 夕方 NO. タイトル 作者 登場人物 043 太陽と天候 ◆LQDxlRz1mQ アポロガイスト 053 強魔(前編)強魔(中編)強魔(後編) ◆LuuKRM2PEg ズ・ゴオマ・グ、津上翔一、桐生豪、照井竜、一条薫、間宮麗奈、桐矢京介、城戸真司、小沢澄子、三原修二、リュウタロス 055 強敵金カブ(前編)強敵金カブ(後編) ◆LuuKRM2PEg 天道総司、乾巧、ゴ・ガドル・バ 056 3人×3人×3人(前編)3人×3人×3人(後編) ◆7pf62HiyTE 小野寺ユウスケ、橘朔也、日高仁志、ン・ダグバ・ゼバ、東條悟、北條透、名護啓介、海堂直也、擬態天道 057 仕掛けられたB/響き渡る声 ◆LuuKRM2PEg 霧島美穂、鳴海亜樹子、アポロガイスト、浅倉威 058 Jの男達/世界を守るために ◆LuuKRM2PEg 左翔太郎、相川始 059 Round ZERO ~ WORM INVASIVE ◆7pf62HiyTE 乃木怜司、金居、葦原涼 060 不屈の魂は、この胸に ◆LuuKRM2PEg 門矢士、紅音也、矢車想 061 究極の目覚め(前編)究極の目覚め(後編) ◆LuuKRM2PEg 日高仁志、小野寺ユウスケ、橘朔也、北條透、東條悟、ン・ダグバ・ゼバ 062 狂気の果てに(前編)狂気の果てに(後編) ◆MiRaiTlHUI 小沢澄子、城戸真司、津上翔一、ズ・ゴオマ・グ 063 草加雅人 の 仮面 ◆LuuKRM2PEg 五代雄介、海東大樹、草加雅人、フィリップ、秋山蓮 064 いつも心に太陽を(前編)いつも心に太陽を(後編) ◆7pf62HiyTE 城戸真司、津上翔一、小沢澄子、小野寺ユウスケ、ン・ダグバ・ゼバ、橘朔也、日高仁志 065 魔皇新生♪ルーツ・オブ・ザ・キング(前編)魔皇新生♪ルーツ・オブ・ザ・キング(中編)魔皇新生♪ルーツ・オブ・ザ・キング(後編) ◆MiRaiTlHUI 天美 あきら、牙王、キング、紅渡、志村純一、園咲冴子、野上良太郎、村上峡児 066 暁に起つ(前編)暁に起つ(後編) ◆MiRaiTlHUI 乾巧、海堂直也、擬態天道、ゴ・ガドル・バ、天道総司、名護啓介 067 第二楽章♪次のステージへ ◆LuuKRM2PEg 天美 あきら、牙王、紅渡、志村純一、園咲冴子、野上良太郎、村上峡児 068 愚者の祭典への前奏曲(第一楽章)愚者の祭典への前奏曲(第二楽章)愚者の祭典への前奏曲(第三楽章) ◆7pf62HiyTE 霧島美穂、浅倉威、鳴海亜樹子、アポロガイスト、紅渡 069 究極の路線へのチケット ◆7pf62HiyTE 牙王 070 愚者の祭典 狂える蛇の牙 ◆LuuKRM2PEg 霧島美穂、浅倉威 071 愚者のF/幕間劇愚者のF/野外劇 ◆7pf62HiyTE 左翔太郎、紅音也、浅倉威、相川始 072 愚者の祭典 涼の来訪に亜樹子の涙(前編)愚者の祭典 涼の来訪に亜樹子の涙 (後編) ◆LuuKRM2PEg 乃木怜司、金居、葦原涼、紅渡、アポロガイスト、鳴海亜樹子 073 落ちた偶像 ~fool s festival~落ちた偶像 ~kuuga vs χ~ ◆7pf62HiyTE 五代雄介、草加雅人、秋山蓮、フィリップ、海東大樹、金居 【第一回放送】 NO. タイトル 作者 登場人物 074 第一回放送 ◆MiRaiTlHUI 死神博士、キング
https://w.atwiki.jp/turezurenushi/pages/130.html
リニューアル新武将歓迎会ver3-上杉謙信/前田利家 捕獲2倍 財宝2倍 妨害1/2 銀貨2倍 土 火 エリア 必要兵糧 制限 妨害 S武将 報酬銀 初回制覇報酬 報酬武将 報酬銀 報酬書 報酬鍵 ☆4越前 電52駆76慎150 SR1名以上 悪天候布陣失敗 SSR明智光秀 銀10×1-5 R督姫 SRRR 銀2000銀1500銀1000 書 鍵2鍵1 出現範囲 兵種 レア度 武将名 LV 兵数 攻撃 特技 備考 一陣 騎馬 R 伊達政宗 1 740 74 低確率で攻撃力の3倍単体攻撃 (電8) 二陣 足軽 SR 加藤清正 1 990 128 高確率全体残兵数攻撃 (電20) 三陣 水兵 SR 久武親信 1 740 77 SSR反射 (電33) 四陣 騎馬 SSR 上杉謙信 1 1600 122 毎巡攻撃力40% (電43) 本陣 騎馬 SSR 前田利家 1 1020 106 攻撃力50%UP 出現範囲 兵種 レア度 武将名 LV 兵数 攻撃 特技 備考 0-1 足軽 R 阿保良姫 2 410 49 0-1 足軽 R 名古屋山三郎 3 410 90 一定確率強攻撃 0-1 足軽 R 鬼庭左月斎 2 690 78 0-1 忍者 R 加藤段蔵 2 240 114 0-1 忍者 R 松永永種 1 660 82 1-2 弓兵 R 武姫 2 680 66 1-2 弓兵 R 尼子晴久 2 760 89 1-2 弓兵 R 田鶴姫 3 890 98 1-2 弓兵 R 大原資良 3 920 89 ときどき全体残兵数攻撃 1-2 騎馬 R 北畠具教 3 280 199 稀に必殺 2-3 足軽 R 津田宗及 2 120 63 2-3 足軽 R 塙団右衛門 2 240 204 2-3 足軽 R 仙桃院 2 650 108 捕獲オススメ 2-3 騎馬 R 仁科盛信 3 820 77 2-3 鉄砲 R 猫御前 2 250 48 3-4 足軽 R おつやの方 3 320 76 3-4 足軽 R 森長可 2 830 98 3-4 鉄砲 R 菊姫 3 340 50 開幕高確率66%ダウナー 3-4 鉄砲 R 稲葉一鉄 2 810 133 開幕低確率全体50%ダウナー 3-4 忍者 R 阿茶局 2 620 60 4-L 弓兵 R お船の方 2 360 29 4-L 弓兵 R 今川氏真 2 710 75 新 4-L 騎馬 R 京極高次 1 700 41 騎馬反射 4-L 騎馬 R 魚住景固 3 960 43 新 4-L 水兵 R 五龍局 2 480 87 開幕単体特技封殺 合計: - 今日: - 昨日: - (旧)新武将歓迎会ver2はこちら http //www58.atwiki.jp/turezurenushi/pages/95.html
https://w.atwiki.jp/sengokutaisenark/pages/946.html
※SS/EX/宴、獲得家紋、コスト兵種別一覧はVer共通の本願寺一覧へ 本願寺Ver1.1一覧 No. 武家 武将名 コスト 兵種 武/統 特技 計略 士気 計略内容 イラスト 戦国大名006 雑賀衆 UC雑賀孫市 2.5 鉄砲 8/8 狙 早業射撃 4 武力が上がり、残弾数が回復する。 風間雷太 本願寺001 雑賀衆 UC岡吉正 1.5 鉄砲 5/4 忍 狙 一発必中 3 武力が上がり、射撃時の攻撃回数が増える。さらに射程距離が伸び、敵を貫通して射撃できるようになる。ただし、弾丸の回復速度が下がる。 JUNNY 本願寺002 本願寺 C願証寺証意 1.0 槍足軽 2/4 - 一向宗の念仏 3 【陣形】敵の移動速度を下げる。 佐藤啓太 本願寺003 本願寺 UC願証寺証恵 1.5 足軽 5/5 伏 脱兎の如く 4 本願寺の味方の移動速度が上がる。 牧野卓 本願寺004 雑賀衆 R小雀 1.0 鉄砲 2/2 魅 狙 小雀落とし 3 武力が上がり、射撃が騎馬隊に命中すると突撃が一定時間できないようになる。 伊藤サトシ 本願寺005 雑賀衆 SR雑賀孫市 3.0 鉄砲 10/5 魅 狙 乱れ八咫烏 7 武力と射程距離が上がり、射程内のすべての敵に同時に射撃できるようになる。 風間雷太 本願寺006 本願寺 C七里頼周 1.5 槍足軽 5/1 気 一向一揆 3 武力が上がり、兵力が一定時間ごとに回復する。 Ryo-ta.H 本願寺007 本願寺 UC下間仲孝 1.5 足軽 5/8 - 手猿楽 5 【陣形】敵の武力を徐々に下げる。 那知上陽子 本願寺008 本願寺 C下間頼照 1.0 足軽 2/5 伏 一揆の陣 5 【陣形】本願寺の味方の兵力が、最大兵力を超えて徐々に回復するようになる。 岩元辰郎 本願寺009 本願寺 C下間頼成 1.0 足軽 4/1 - 一向宗の足止め 3 【陣形】敵の移動速度を下げる。 加那屋大志 本願寺010 本願寺 UC下間頼旦 2.0 足軽 8/5 城 一向一揆 3 武力が上がり、兵力が一定時間ごとに回復する。 三好載克 本願寺011 本願寺 C下間頼龍 1.0 槍足軽 2/5 - 一向宗の援軍 4 味方の武力が低いほど、兵力が回復する。 碧風羽 本願寺012 本願寺 SR下間頼廉 2.5 鉄砲 8/9 気 狙 一向宗の采配 5 味方の武力が上がる。足軽であれば、さらに武力が上がる。 山宗 本願寺013 雑賀衆 C下針 1.5 鉄砲 6/2 狙 弾幕射撃 3 射程距離が伸び、射撃が命中した敵を吹き飛ばす。 hippo 本願寺014 雑賀衆 R鈴木佐太夫 2.0 鉄砲 7/6 柵 狙 一蓮托生 5 敵と味方の武力が上がるが、移動速度が下がる。 タケダサナ 本願寺015 雑賀衆 R鈴木重兼 2.0 鉄砲 6/8 柵 狙 雑賀の采配 5 味方の武力が上がり、鉄砲隊であれば敵を貫通して射撃できるようになる。 萩谷薫 本願寺016 雑賀衆 C鈴木重泰 1.5 鉄砲 5/4 気 狙 怒りの銃弾 4 武力が上がり、射撃時の攻撃回数が増える。その効果は兵力が少ないほど大きい。 小城崇志 本願寺017 本願寺 C超勝寺実照 2.0 足軽 8/1 気 超気合いの構え 3 武力が上がる。兵力ゲージの赤い部分が多いほど、さらに武力と兵力が上がる。 木下勇樹 本願寺018 雑賀衆 R土橋守重 2.5 鉄砲 9/4 柵 狙 阿修羅の銃弾 5 武力が上がり、射撃時の攻撃回数が増え、射撃幅が拡大する。 三好載克 本願寺019 雑賀衆 C鶴首 1.0 鉄砲 2/2 狙 鶴首落とし 3 武力が上がり、射撃が命中すると敵の武力が一定時間下がるようになる。 Daisuke Izuka 本願寺020 本願寺 C徳田重清 1.5 鉄砲 5/5 柵 狙 弾丸補給 3 味方の残弾数が回復する。さらに弾数の回復速度が上がる。 吉野啓太 本願寺021 本願寺 R如春尼 1.0 足軽 1/6 柵 魅 輪廻舞踊 5 【舞踊】味方の復活時間を減らす。 戸橋ことみ 本願寺022 雑賀衆 R蛍 1.5 鉄砲 5/6 魅 狙 蛍火の陣 3 【陣形】本願寺の鉄砲隊の射程距離が伸びる。 小室和生 本願寺023 本願寺 C本願寺教如 1.5 足軽 5/8 柵 土砂崩れ 7 敵に土砂によるダメージを与える。ダメージはお互いの統率力で上下する。 寺澤隆徳 本願寺024 本願寺 SR本願寺顕如 2.5 足軽 8/10 城 気 魅 如来降臨 7 【陣形】本願寺の味方の兵力が徐々に回復し、敵の兵力を徐々に下げる。 杉浦善夫 本願寺025 雑賀衆 UC無二 1.5 鉄砲 6/2 魅 狙 二丁拳銃 3 武力が上がり、2部隊同時に射撃できるようになる。 匡吉 [[コメント]] *編集が苦手な方はこちらへ訂正指摘等々、お願いします 名前
https://w.atwiki.jp/ffwm/pages/17.html
エンポリオ・アルニーニョ&ライダー◆lkOcs49yLc エンポリオ・アルニーニョは母親を失った。 母を殺したのは、一人の神父だった。 エンポリオは、母親の仇を取る為に生きた。 刑務所に入り込み、幽霊を操り、幽霊の本を読みながら、彼は成長していった。 やがて、彼には多くの仲間が出来た。 分解癖のある変人。 記憶のない寡黙な男性。 明るく面倒見の良い黒人の女性。 偶然にも出会ったショートヘアの少女。 そして、星型の痣を持つ少女。 幾つもの出会いと戦いの日々が、彼らの間で繰り広げられた。 神父の刺客は、常日頃から「スタンド」と呼ばれる強力な力を手に取るように振るい、エンポリオ達を苦しめていった。 それでも、エンポリオ達が挫けることは無かった。 恐怖を己のものとし、誇り高き勇気のままに彼らは戦いを繰り広げていく。 その過程で、仲間が死んだ事もあった。 それでも諦めることはなかった。 やがて彼らはとうとう、神父に対面することが出来た。 しかし、既に神父の力は彼等を凌駕していた。 「時」を加速させるその力。 世界を再構築させるほどの時の動きに、世界が、彼等が掻き乱されていった。 しかし、これまでの熾烈な戦いを潜り抜けた機転と力と勇気で彼等は神父に立ち向かっていった。 時を静止させる者が仲間にいるとはいえ、勝算はほぼゼロに等しかった。 そして、多くの仲間が死にゆく中エンポリオは全てを託され、生き残り、只、加速される時の中を彷徨い続け― ◆ ◆ ◆ 「エンポリオッ!お前はここに来てはならなかったのだッ!!」 「うわぁぁぁぁぁぁ!!」 逃げる、逃げる。 始まりの場所、薄汚い刑務所の中を、エンポリオはみっともなく走っていく。 追いかけるのはエンリコ・プッチ神父。 徐倫を、エルメェスを、アナスイを、ウェザーを、承太郎を殺した張本人。 しかしプッチは、その潰れた右目を晒しながらも、己のスタンド「メイド・イン・ヘブン」を容赦なくけしかけてくる。 DIOとの戦いに勝利した承太郎でさえ為す術もなかったその力にエンポリオは、只々、逃げるしか無かった。 無論、手段がないわけではない。 徐倫が遺してくれた切り札なら、既にエンポリオの帽子の中に隠されている。 プッチがウェザーから奪い取りDISCにしたそのスタンドを、エンポリオは持っている。 「ウェザー・リポート」 所持者であるエンポリオの仲間の一人である男の通称と、同じ名を持つスタンドだ。 その能力は「天候操作」。 それさえ使えれば、エンポリオに勝ちは見えるかもしれない。 だが如何に勇気があろうが、幾ら死線を潜り抜けようが、エンポリオは只の子供。 恐ろしいほどの暴力には、逃げまとうしか無かった。 しかしエンポリオは、「メイド・イン・ヘブン」の攻撃を避けようと仰け反ったその時である。 エンポリオの下には丁度、一枚の白い紙札があった。 ◆ ◆ ◆ 「思い出した……」 自宅の本棚にある本を横になって読んでいたエンポリオは、其処までの記憶を取り戻した。 取り戻した切っ掛けは、己が読み返したその本だ。 其処には空気の物質に関する記述が有るのだが、その本をエンポリオは嘗て読んだ事があるのだ。 己のスタンド「バーニング・ダウン・ザ・ハウス」で。 そもそもからすれば、エンポリオの母親は普通に生きていたのだ。 そしてエンポリオがいるのは、刑務所ではなく普通の家。 思えばこの時点で、エンポリオは既に違和感を感じていたのだ。 そして読んだ本の文章に既視感を覚え、エンポリオは今に至った。 今のエンポリオに流れるのは、「聖杯戦争」に関する記憶だ。 此処は月に偽装された演算装置「ムーンセル」に構築された世界「SE.RA.PH」。 この世界で記憶を取り戻した者は「サーヴァント」と呼ばれる使い魔を操り、殺し合い、そして戦いの果てに「聖杯」と呼ばれる願いを叶えるアイテムを手にするというのだ。 その聖杯戦争に招かれる鍵は、何やら「白紙のトランプ」だそうなのだが…… しかし、白紙のトランプと言う物はエンポリオも持ち合わせていない。 普通のトランプならスタンドで創り出せるだろうが、しかし白紙のトランプは持っていないはずだ。 (何処に有るんだろう……) そう考え、ガバリと起き上がったエンポリオは辺りをキョロキョロと見回す。 すると、自分の真後ろに模様が書かれたカードが置かれているではないか。 エンポリオは身体の向きを変え、そのカードを拾う。 裏返してみると、そのカードの模様は―真っ白だった。 無論、このカードが己の背中に置いてあったということなど、エンポリオは知る由もないだろう。 ◆ ◆ ◆ 「そうだ、ぼくは徐倫に託されて、プッチから逃げようとした所で……。」 何の宛も無く、エンポリオはトランプを手に街を歩きながらも、聖杯戦争について考える。 今の所、エンポリオのサーヴァントがやって来る兆しは見られない。 実のところ、エンポリオには叶えたい願いなど無いのだ。 いや、願いなら有る。 エンリコ・プッチを倒すこと、それだけだ。 死んでいった仲間達を生き返らせようなどとは思わない。 それでは、彼等の覚悟は全て、無駄になってしまうのだから。 他者を殺めて願いを叶えるとなるのなら、尚更の話だ。 結局、エンポリオが選んだのは、誰も殺さずに生き残る道。 或いは聖杯を破壊する道だ。 (聖杯に縋って叶えたい願いなんて僕には無い……願いなら、ぼく自身の手で叶えてやる!) そう思った時、エンポリオの持ったトランプが、光り輝いた。 「うわっ!!」 その眩い光に、エンポリオも思わず目を覆う。 ◆ ◆ ◆ 天道総司の妹は病を患った。 病を患った原因は一つの超巨大隕石だった。 妹を治す方法は最早見つからないと分かった中、天道はある一つの噂に希望を見出す。 「時を超える力を持つ黄金のライダー」 それに目をつけた天道は、行動を起こした。 世界では、既に天道と同じ「ライダー」達の争いが勃発していた。 「秩序」を護る組織と、壊す組織。 二手に別れたライダー達は潰し合う中、天道は姿を表した。 己の力を見せつけた彼は2つの組織に内通し、己を売る。 彼の思惑通りにライダー達の潰し合いは加速を初め、ついに天道が求めた男はその姿を表した。 同時期に、天道に悲しい知らせが届いた。 妹の命が、もう長くはないのだと。 更に、ライダーを失った秩序の組織が怪物達と手を組み、世界を蹂躙しようとしたと言うことも。 最早、天道に遺された時間は無かった。 天道は妹を愛し、愛された男と手を取り合い、宇宙へと旅立つ。 そして宇宙に到着した天道達の前に現れたのは、黄金のライダー。 黄金のライダーとの戦いは歯列を極めた。 只のライダーではまともに太刀打ち出来ない程に。 だが、妹を愛した男が、天道を庇ってくれた。 彼の想いを乗せ、黄金のライダーから奪った時を超える力を、天道は遂に使った。 奪われた力の前に黄金のライダーは倒され、天道は念願の想いを届けるために全てが始まった7年前へと旅立つ。 隕石は爆発四散、天道は7年前の己に妹を託した。 ◆ ◆ ◆ 「お前か、この俺を喚んだマスターと言うのは。」 光が止んだ時、既にエンポリオの手にカードは無かった。 代わりにいたのは、白いコートを羽織った、一人の長身の東洋風の青年だった。 如何にも英雄とは言い難い様な出で立ちだったが、そのオーラは何処か、凄みを持っていた。 それも、エンポリオが嘗て出会った仲間達にも劣らないような。 それに、この男を見た時、何やら数値と、「Rider」という文字が浮かび上がってきたのだ。 間違いない、彼こそが、己のサーヴァントだ。 「はい、そうです。」 ◆ ◆ ◆ エンポリオが召喚したサーヴァントのクラスは、「ライダー」という物だった。 その名の通り、乗り物を宝具として手繰るサーヴァント。 今エンポリオは、ライダーの背中にしがみつきながら、彼が乗りこなしている真紅のバイクに乗っているのだ。 多くの車が行き交う公道の中を、極めて特殊な形状をしたライダーのバイクは走っていく。 「マスター。」 ふと、ライダーが声を掛ける。 「は、はい。」 「お前が持つ願いは何だ。」 「僕に願いなんか……有りません。」 「ほう?」 「僕は、この聖杯戦争から抜け出したい。僕は託されているんです、死んだ仲間達から、宿敵をぼくの手で倒すという使命をッ!」 ―仲間、か。 ライダーのサーヴァント、天道総司は、その言葉に懐かしみと、疎遠さを同時に浮かべていた。 天道は、これまで一人でずっと戦ってきた。 だが、黄金のライダーとの戦いにおいて、共に戦った男がいた。 (加賀美、俺とお前は魚の切り身よりもずっと薄っぺらい仲だ…… だがそれでも俺達は、共にひよりの為に戦った。) 嘗て、共にひよりを救うために戦ったライダーを、天道は思い出した。 彼はひよりを愛していた。 その想いは天道と同じだった。 何より彼は、己を庇ってハイパーゼクターへと道標となってくれたのだ。 加賀美とは所詮昨日一昨日出会った敵に過ぎなかったが、守りたいものは同じだった。 行く道は同じだった、そう云うのを仲間だというのだろう。 美味い料理はほんの一口しか食べていなくとも、十分すぎる程愛おしい味であるはずだと、お婆ちゃんも言っていた。 「マスター、お前の名前は何だ?」 天道は、まだ聞いていなかった己の相棒の名を問う。 うしろにしがみついているエンポリオはそれに答え、輝かしい目で答える。 「ぼくの名前はエンポリオです。」 天道はその言葉を聞きフッと笑うと、同じく己も答え返す。 「おばあちゃんが言っていた、俺は天の道を生き、総てを司る男……」 そして天道は左ハンドルを手放し、空いた左手で天を指差す。 「天道……総司!!」 その姿は、エンポリオにはより一層輝かしく見えた。 【マスター名】エンポリオ・アルニーニョ 【出典】ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン 【性別】男 【参戦経緯】 エンリコ・プッチに変えられた世界におけるグリーンドルフィン刑務所で偶々白紙のトランプを拾った。 【Weapon】 「バーニング・ダウン・ザ・ハウス」 エンポリオが持つスタンド。 既に消滅した存在、つまり物の「幽霊」を呼び出すことが出来る。 幽霊は実物と同じように使うことが可能で、例えば本は読めるし、パソコンは回線が無くてもインターネットに繋げる。 ただし食べ物は喉を通らず、腹の足しにならない。 重火器も実弾は当たらず、音による虚仮威しにしか使えない。 「ウェザー・リポートのDISC」 ウェザー・リポートと、空条徐倫を通して手に入れた彼のDISC。 「ウェザー・リポート」と呼ばれるスタンドが入っており、高度な天候操作能力を持つ。 使いこなせば発火現象、凍結現象、空気中の酸素濃度の操作、更にはカエルを降らせることも可能。 【破壊力 - A / スピード - B / 射程距離 - C / 持続力 - A / 精密動作性 - E / 成長性 - A】 【能力・技能】 スタンド 力を具現化したかの様な特殊なパワー。 スタンドはスタンド使いにしか見えず、スタンドにしか対処できず、またスタンドが傷つけば本体も傷付く。 専科百般 幼い頃からあらゆる本を読み続けてきたため、あらゆる事柄に詳しい。 ヘリコプターの操縦法も知っている。 【人物背景】 運命に勝たせてもらおうとした男。 加速された時間からの参戦。 【聖杯にかける願い】 エンリコ・プッチを殺す。 【クラス名】ライダー 【出典】劇場版 仮面ライダーカブト GOD SPEED LOVE 【性別】男 【真名】天道総司 【属性】混沌・善 【パラメータ】筋力B 耐久B 敏捷C 魔力E 幸運B 宝具B+(マスクドフォーム変身時) 筋力C 耐久C 敏捷B++ 魔力E 幸運B 宝具B+(ライダーフォーム変身時) 筋力A 耐久A 敏捷A++ 魔力E 幸運A 宝具B+(ハイパーフォーム変身時) 【クラス別スキル】 騎乗:C 乗り物を乗りこなす才能。 大抵の乗り物は人並み以上に乗りこなす。 対魔力:E 魔力に対する耐性。 無効化はせず、ダメージを軽減する程度。 【保有スキル】 仕切り直し:C 不利な戦闘から離脱する能力。 戦闘を水入りにすることも出来る。 心眼(真):B 修行、鍛錬によって培った洞察力。 窮地に陥った時、逆転の可能性が1%でもあるのなら、それを手繰り寄せる戦闘論理。 単独行動:A マスターとの魔力供給を絶っても現界を保つ能力。 Aランクなら、マスターが死んでも1週間は現界を保てる。 【宝具】 「装甲騎士・真紅の甲(マスクドライダー・カブト)」 ランク:C+ 種別:対人・対時間宝具 レンジ:- 最大捕捉:1 地球外生命体「ワーム」に対抗するために作られたマスクドライダーシステムの記念すべき第一号。 カブトゼクターを呼び出しベルトに装填することでシステムが起動、「カブト」へと変身する。 「ヒヒイロカネ」で鍛えられた装甲を 武器に戦う「マスクドフォーム」、 マスクドフォームの装甲を外して時空を超えた「クロックアップ」と呼ばれる高速移動を武器とする「ライダーフォーム」の2つの姿を併せ持つ。 また、別の逸話ではカブトには暴走システムが仕組まれていると言う逸話が残されているが、この世界では逸話として確認されていない。 「銀角突き刺す真紅の甲車(カブトエクステンダー)」 ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:30 最大捕捉:1 ライダーが乗りこなした高性能バイク、カブトエクステンダーを召喚する。 カブトの資格者に忠実であり、自動走行も可能である。 キャストオフによりエクステンダーモードに変形、壁を走り、巨大な角で敵を攻撃できる他、クロックアップの世界での走行も可能となる。 耐久力も高く、成層圏を突入しても尚原型を保っている。 「時空を超越する銀甲(ハイパーゼクター)」 ランク:B++ 種別:対時間宝具 レンジ:- 最大捕捉:1 ライダーが黄金のライダーから奪い取ったゼクター、ハイパーゼクターを召喚する。 これをベルトに付け、ハイパーキャストオフを発動することで「ハイパーフォーム」へと変身できる。 ハイパーフォームの戦闘力は相当なものとなり、空中飛行も容易にできる。 そして更には「ハイパークロックアップ」と呼ばれるクロックアップを超える時間制御能力を持つ。 時間を巻き戻す事すら容易な能力だが、時間逆行は令呪一角につき8時間が限度。 また、逸話として確認されていないパーフェクトゼクターの召喚は不可能。 【Weapon】 「カブトゼクター」 マスクドライダーシステム「カブト」のコアを担うカブトムシ型ロボット。 「ジョウント」と呼ばれる時空を超えた転送システムを搭載しており、 「クロックアップ」の空間を通して資格者の元にタイムロスなしで駆けつける。 そしてデバイスに装填することで資格者をライダーに変身させる。 普段は何処かを飛び回っているが、ライダーの命令には忠実。 意外と器用で、高速で麺打ちを行うことも出来る。 「ライダーベルト」 マスクドライダーシステム「カブト」を起動するためのベルト型デバイス。 腰に嵌めるだけで14歳の少年が瓦礫の下から自力で抜け出せる程度に力が増大する。 内部にはカブトのスーツの中身が圧縮されて入っており、カブトゼクターをバックルに装填してロックを解除することで装着される。 「カブトクナイガン」 カブトの装備。 当然の如くヒヒイロカネで作成されており、ジョウントで自在に召喚できる。 「ガンモード」にはストック部分に刃が付けられており、持ち替えて「アックスモード」にすることも出来る。 更に銃身部分を引き抜くことで「クナイモード」に変化させることも可能。 【人物背景】 運命に絶えず、常に味方された男。 劇場版からの参戦。 【聖杯にかける願い】 マスターを護ってやる。
https://w.atwiki.jp/sengoku-taisen/pages/1408.html
カードリスト/上杉家/一覧/Ver1.2 No 家 武将名 コスト 兵種 武/統 特技 計略 士気 計略内容 獲得家紋 イラスト 上杉046 上杉家 R絶姫 1.0 槍 1/5 魅 稲妻落とし 5 範囲内の最も統率力の高い敵に雷によるダメージを与える。ダメージはお互いの統率力で上下する。 吉野啓太 カードリスト/上杉家/コスト兵種別一覧 コスト/兵種 鉄砲隊 騎馬隊 槍足軽 弓足軽 足軽 4 3.5 3 2.5 2 1.5 1 [1/5]R絶姫(魅) コスト/兵種 鉄砲隊 騎馬隊 槍足軽 弓足軽 足軽 兵種/特技集計 コスト 鉄 馬 槍 弓 足 気 伏 柵 魅 忍 城 制 狙 武将数 4.0 3.5 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 1 1 1 武将数 0 0 1 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 コスト 鉄 馬 槍 弓 足 気 伏 柵 魅 忍 城 制 狙 武将数 コメント *編集が苦手な方はこちらへ訂正指摘等々、お願いします 名前 絶姫の兵種は弓→槍です - 名無しさん 2012-02-24 00 38 18
https://w.atwiki.jp/sengoku-yaraideka/pages/250.html
黄金攻城11連ガチャとは 出現武将 黄金攻城11連ガチャとは 初回の必要輝石の数が半分でガチャを回すたびに、高レア武将を排出する確率がUPする 回数 必要輝石 特典 1回目 3,000輝石⇒1,500輝石 初回限定1,500輝石!新武将SSR以上1枚確定! 2回目 3,000輝石⇒2,100輝石 2回目2,100輝石!新武将SSR以上2枚確定! 3回目 3,000輝石 LE確率3倍! 4回目 3,000輝石 LE確率4倍! ※黄金攻城11連ガチャは4回目まで引くと1回目に戻ります。 11/17 今回登場する新武将は攻城戦の攻城得点が大幅に上昇する新スキル「知運」発動! ※知運に関しては「攻城戦考察」参照 出現武将 +第一回 [11/17~11/24] 兵科属性 兵科種類 LE SSR SR 歩兵 足軽 New!島津豊久♂武田勝頼♀ 羽柴秀吉♀ 武者 宇喜多秀家♂立花道雪♂ 槍足軽 立花宗茂♂ 投石足軽 宇喜多直家♂ 薙刀足軽 騎兵 騎馬兵 柿崎景家♂ 薙刀騎兵 槍騎馬 弓騎馬 太田道灌♂ 鉄砲騎馬 New!島津義弘♀ 弓兵 弓足軽 立花誾千代♀ 半弓兵 毛利輝元♀まつ♀ 海賊衆 弓武者 豊臣秀頼♀ 高橋紹運♂ 特殊 忍者 石川五右衛門♂ 鉄砲足軽 New!大友義鎮♀ 軍師 山本勘助♂ 島津家久♀ 剣豪 上泉信綱♂ 大筒兵
https://w.atwiki.jp/senmura1/pages/391.html
[部分編集] 愛 小幡昌盛 ハイノーマル #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (240x300)拡大画像 必要兵力 9 Lv1 攻 680 防 670 知 640 LvMAX 攻 防 知 スキル なし 売却価格 900両 コメント 「鬼っ娘の昌盛ちゃんは信玄ちゃんに仕え続けるのだ!!」武田信玄、武田勝頼に仕える足軽大将。海津城副将の地位よりも信玄配下を希望し足軽大将であり続けた。 図鑑 ガチャ 備考 ↓進化↓ [部分編集] 愛 [忠]小幡昌盛 ハイノーマル #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (240x300)拡大画像 必要兵力 9 Lv1 攻 750 防 740 知 710 LvMAX 攻 - 防 - 知 - スキル なし 売却価格 900両 コメント 「絶対絶対絶対昌盛ちゃんは信玄ちゃんのそばにいるの!!」武田信玄、武田勝頼に仕える足軽大将。海津城副将の地位よりも信玄配下を希望し足軽大将であり続けた。 図鑑 ガチャ 備考 ↓進化↓ [部分編集] 愛 [足軽大将]小幡昌盛 ハイノーマル #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (240x300)拡大画像 必要兵力 9 Lv1 攻 820 防 810 知 780 LvMAX 攻 - 防 - 知 - スキル なし 売却価格 900両 コメント 「へへっ、これからもずっと一緒だよ、信玄ちゃん!!」武田信玄、武田勝頼に仕える足軽大将。海津城副将の地位よりも信玄配下を希望し足軽大将であり続けた。 図鑑 ガチャ 備考 コメント 名前
https://w.atwiki.jp/kokutounobuyabo/pages/82.html
連携 効果 戦闘開始時に、同時に行動しているユニットと同じ数だけ、スタックの合計戦力が+1ずつ加算される。 (戦闘後は元に戻る) 発動条件 戦闘チャート 「先制特技発動」時 使用可能武将 武将名 切札 知行 兵科 戦力 特技 備考 高坂昌信 猛き魂 5 騎馬 5 連携 武田軍固有 直江景綱 - 4 鉄砲 4 連携 上杉軍固有 遠藤基信 - 4 足軽 4 連携 伊達軍固有 伊達成実 ど根性 5 騎馬 5 連携 伊達軍固有 成田氏長 - 3 騎馬 4 連携 北条軍固有 毛利輝元 - 4 足軽 4 連携 毛利軍固有 宍戸隆家 - 4 足軽 5 連携 毛利軍固有 氏家卜全 - 4 足軽 4 連携 織田信長6章クリア 朝比奈信置 - 3 騎馬 3 連携 名声2獲得 朝比奈泰朝 - 3 騎馬 3 連携 名声2獲得 斎藤利三 - 3 足軽 3 連携 名声2獲得 龍造寺家就 - 3 足軽 3 連携 名声2獲得 蒲生氏郷 築城の匠 4 鉄砲 4 連携 名声15獲得 三好政康 - 4 足軽 5 連携 名声15獲得 解説 攻撃側が修正を得る形の【特技】としては汎用性があるが、同時に移動したコマの分効果が出るため、 一番効率的に使うとしたら、低【知行】の武将を多めに編成し、足並みを揃えた上で使うのがよいだろう。 しかし、スタック数が多いほど先制攻撃を受けた際に戦力が大きく減少するため、低【戦力】武将が一掃されると一気に効果が薄らぐ。 先制攻撃できるか否かの、微妙なバランスで勝敗を分ける【特技】である。 スタック数には自分自身も含まれるため、最低+1は増加することを覚えておきましょう。 合計14名が保有しており、半数が八大名家に所属している。 【知行≦戦力】のコマだけであり、効果と同様に地味な武将ばかりである。
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/143.html
それからややあって、状況は大きく変わって居た。 海堂と立川が現在隠れている場所は、街の外れの廃工場。 高町なのはは、二人の無事を確認しながら、魔力弾を飛ばす。 この廃工場が如何に広いと言えど、ここは室内。 自由に飛び回る事を制限されたなのはは、大きく不利―― 「そこぉっ!」 ――かと思えば、そんな事も無いらしい。 宣言と共に発射した魔力弾は、工場内を縦横無尽に飛び回り、ワームに命中。 ある魔力弾は牽制。ワームの動きを制限し、思い通りの行動を封じ。 ある魔力弾は本命。十分な魔力が注がれた弾丸は、ワームを爆ぜさせて。 牽制かと思えば本命の弾丸が迫り、本命かと思って回避すれば、それはなのはの思うツボ。 この狭い空間の中で完全に自由を奪われたワーム達は、ろくな対処も出来ずに―― 「せやぁっ!!!」 サソードの刃に斬り裂かれ。 「おおおおおおおおおおおおりゃっ!!!」 ガタックの双剣に叩き伏せられる。 自由を奪われたワームなど、青と紫のライダーの前には無力同然。 二人が振るう刃は、どれも一撃で、確実にワームを緑の炎へと変えていく。 天才的な魔法戦の才能を持ったなのはと、戦闘のプロであるライダーが揃って初めて成せる業。 最高のコンビネーションは、こうして図らずも磨き抜かれて行くのであった。 際限なく沸き続けていたワームも、流石に不利だと悟ったのだろう。 彼女らの前には人海戦術も虚しく、ワームの数が目に見えて減って行く。 やがて、急激な速度で数を減らして行く中、三匹のワームが赤く変色。 ワームによる脱皮。それはサリスを成虫に変え、クロックアップを可能にする。 何とかして対処しようとした、その瞬間――駆け抜けたのは、赤の風であった。 ――CLOCK OVER―― 鳴り響く電子音。 一斉に爆発してゆくワーム達。 赤い装甲を煌めかせて、顕在するカブト。 その場の全員の視線が、突如として現れたカブトへと向けられる。 そんな中、何の前触れもなくぽつりと呟いたのは、立川大悟であった。 「太陽の神、カブト――日下部総司」 「立川さん……? 何を言って――」 しかし、その言葉は最後まで紡がれない。 疑問を浮かべるなのはを遮ったのは、レイジングハートの警告音。 なのはが持つ杖の先端に輝く宝玉が赤く光輝いて、現状を報告した。 『Master, One reaction of the worm still remains.』 「えっ……!?」 まだワームが一匹残っています、と告げる。 なのははすぐにレイジングハートを構え直し、警戒態勢を取る。 ガタックはすぐに周囲を警戒し、カブトは何も言わずに歩を進める。 気付けば先程まで戦っていたサソードが居なくなっているのだが、それは後回しだ。 あの神代剣がそう簡単にやられた等とは思えないし、今は残ったワームを警戒する方を優先。 それから数秒と待たずに、カブトの視線の先に、一匹の蛹ワームが居る事を確認した。 しかし警戒心を強めるなのはとは裏腹、ワームは突如として変身を解いた。 何の変哲もない、何処にでもいる中年男性の姿になったのだ。 「た、助けて下さい! お願いします!」 「え――?」 あまりにも予想外過ぎる行動であった。 完全に戦う意思を無くしたのか、男はその場に跪いた。 その瞳に涙すら浮かべて、迫るカブトにただただ土下座する。 「もう悪さはしないって約束しますから! どうか、どうか命だけは……!」 ――ONE―― されど、男の願い虚しく。 無情にも、返された返事は電子音であった。 流石に可哀相に思えたなのは、レイジングハートを下ろし。 ガタックは何をするでもなく、ただ動揺した様子でワームを見詰め。 狼狽する一同の中で、唯一カブトだけが、淡々と歩を進めていた。 ――TWO―― 流石に見て居られなくなったなのはが、地べたを蹴った。 ふわりとその身を浮かせ、歩を進めるカブトへ向かい飛翔する。 あのワームは既に、戦う意思を失い、完全に武装を解除した。 投降の意思を表明した相手を無慈悲に殺すなど、あってはならないのだ。 「やめて、天道さん……! もうそのワームに戦う気は……!」 「お、おおお願いします! 許してっ……、許して下さいぃぃ!」 ――THREE―― カブトが、ベルトの三つ目のボタンを叩いた。 ただ脅える事しか出来ず、後じさりながらも命乞いを続けるワームの眼前まで迫り。 目の前で散りゆく命を救わんと飛翔するなのはの努力も虚しく。 事実上の死刑宣告は、電子音声で告げられた。 ――RIDER KICK―― 稲妻をその身に纏い、カブトが脚を振り抜いた。 左足を軸足にした、強烈なまでの回し蹴り。 カブトの必殺技、ライダーキックだった。 その軌道は真っ直ぐに男へと走り――。 「うわぁぁああああああああああ!?」 それは、断末魔の絶叫だった。 カブトの蹴りが減り込んだ瞬間、男の姿はワームへと変化した。 ごしゃ、と。何かが壊される時に聞こえる、心地の悪い音が鳴り響いて。 次の瞬間には、タキオンの稲妻に全身を破壊されて、ワームは爆発四散した。 それから暫くの間は、誰も、何も言えなかった。 各々が何を考えているのか。命を奪ったカブトへの憤りか、それとも別の何かか―― それはなのはに解る事ではなかったが、少なくともなのはが抱くは、前者の感情。 あのワームは恐らく、本気で改心しようとしていたのではなかろうか。 なのにカブトは、にべもなくその願いを一蹴し、男の命を奪った。 憤りを感じない筈がないし、なのはにはそれが理解出来なかった。 そんななのはの感情を代弁するかの様に一歩を踏み出したのは、 「なあ天道……今のは少し、ひど過ぎるんじゃないか」 仮面ライダーガタックこと、加賀美新であった。 加賀美としても、先程の天道の行動には納得しかねるらしい。 周囲を見渡せば、海堂も若干退いた様な視線でカブトを見ていた。 相変わらず無表情の立川の感情は読めなかったが、それでも自分が少数派では無い事には確信を持てる。 故になのはもまた、ガタックの横へと降りたって、カブトに抗議の視線を向けた。 「どうして……どうして殺したの!? あのワームはもう、戦うつもりなんて無かったのに……!」 「躊躇いは、こっちがやられる」 「何の躊躇いなの!? あのワームにはもう戦う力なんて残って無かったって、分かるじゃない! 何も今すぐに殺さなくたって、いくらでもやり様はあった筈だよ! それなのに――」 「――くだらんっ!!!」 なのはの言葉を遮って、カブトが怒鳴った。 その威圧感は半端では無く、なのはのみならず、その場の全員が言葉を失った。 カブトの怒鳴り声は、静まり返った工場内で反響し、何重にも響き渡る。 彼が仮面の下でどんな表情をしているのか、なのはには解らない。 それも相俟って、なのはは完全に竦み、言葉を失った。 「相手がワームなら、俺は非常に徹する。そして――」 無意識に、カブトが僅かに拳を握り締めた。 ライダースーツが、ぐぐっ、と音を立てて軋む。 「――倒すっ!」 その言葉には、隠そうともしない棘が多分に含まれて居た。 まるでワームを完全に敵視し、憎しみすら抱いているかのような……。 天道という男の境遇をなのはは知らないが、少なくとも、それだけは解った。 だけど、ここで相手の威圧感に押し負けて、引き下がるなのはではない。 伝えたい事があるならば、無理矢理にでも押し通す。 それが高町なのはという一人の人間の生き方だ。 「でも、あのワームだって生きてたんだよ!?」 「甘いな。そもそもお前の様な子供が戦う事自体話にならん。 子供は子供らしく、大人しく家に帰って勉強でもしてるんだな」 「子供だからとか、そんなの関係ないじゃない! 私は誰かを守りたいから戦ってるだけ! 人に言われて戦ってる訳じゃないし、ましてや天道さんにそんな指図をされる覚えもない!」 カブトの態度には、流石のなのはもカチンと来た。 聞けば天道は何かにつけて子供子供となのは達を見下している様子。 少なくとも天道の言い方では、ただ相手を馬鹿にしている様にしか聞こえなかった。 感情の赴くままにレイジングハートを突き付けて、カブトに怒りの視線を突き付ける。 やれやれとばかりに、仮面の下で嘆息する天道の声が聞こえた。 「お前はいつか、痛い目を見るだろう。そうなった時、悲しむ人間の事を少しでも考えた事はあるか」 「そんな事、今は関係ないよ! 第一、そうならない様に、私は何時だって全力全開で頑張ってるから!」 「それが問題だと言っているんだ」 「……!?」 意味が分からずに、なのはの言葉が詰まる。 カブトはなのはに踵を返し、首だけ僅かにこちらに向けて、のたまった。 「そんな事も解らないうちは、お前もまだまだ半人前以前の子供だという事だ」 それきり、カブトはなのはと話す気を無くしたらしい。 なのはに赤い背を向けて、悠々と工場の出口へ向かって歩いてゆく。 すぐに追いかけようとしたが、どういう訳か、身体は動いてくれなかった。 心中で、今し方カブトに言われた言葉が何度も駆け巡る。 (今の、どういう……) 頑張り過ぎるのが、問題だとでも言うのだろうか。 確かに自分は、何時だって頑張って、無理矢理にでも道をこじ開けて来た。 自分が間違った道を歩いているとは思っていないし、だからこそその行動も正しいと思っていた。 だけど、天道総司は恐らく、なのはのその行動方針を見抜いた上で、先程の苦言を呈したのではなかろうか。 無理矢理道をこじ開けるのはいいが、もしもそれでも越えられない壁があった時、なのははどうなるだろう。 なのはの仕事は、いつだって死と隣り合わせ。きっと取り返しのつかない事態になる。 考えたくはないが、もしも先程の自分の考えが間違っていたら。 「あのワームはもう、戦う意思を失っていたように見えた。だから許そう」 この、自他共に認める“優しすぎる考え方”が、もしも間違っていたとしたなら。 きっと、「取り返しつかない事態」というイフは、今頃訪れていたのではなかろうか。 少しだけ冷静になって、天道の行動の意味を良く考えてみる。 「ううん、それでも……私は私の道を進む事しか出来ない」 だけど、それが自分なのだ。 一度言われたくらいで、その考えは曲がらなかった。 ……人間と言うのは、馬鹿な生き物だ。 一度痛い目にあわなければ、中々それを理解する事は難しい。 その時は、今から二年後に訪れるのだが……それはまた、別のお話。 こうして、この日の戦いも無事に終わった。……かに、見えた。 「うぉおおおおおおおおおおおおああああああああああああああああああッ!!!」 突如として、工場内に響き渡った絶叫。 なのはも、ガタックも、海堂も、立川も。 この場にいる誰もが、絶叫の主も、その理由も理解出来なかった。 だけど、何事かと狼狽する四人を除けば、この場所にいるのは只一人。 次の瞬間には、なのはの視線の先、カブトが両膝をアスファルトについて、頭を抱えていた。 当然、その場の全員がどう対処していいのか分からなかったし、分かる筈もなかった。 カブトが突然頭を抱え、絶叫と共に苦しみ出した。 それだけが、皆が理解した唯一の事象。 それからすぐに、カブトは事切れたかのように動かなくなった。 状況が何一つ掴めないまま、何が起こったのかとカブトを凝視する。 やがてゆらりと立ち上がったカブトは、ゆっくりとこちらへと振り向き。 次の瞬間には、凄まじい速度で駆け出し、立川の眼前へと迫って居た。 「うおおおおおおおおおおお!!」 「カブっ……、ぐっ――!?」 カブトが叩き込んだのは、重たいパンチ。 咄嗟の事に両腕で受け止めようと手を出すが、そんな事は無意味。 生身の人間に、仮面ライダーの拳を受け止めきれる訳がなかった。 呻き声と共に軽く吹っ飛んだ立川は、アスファルトを転がって、何とか立ち上がる。 「天道さん、一体何を……!?」 「お前っ! 何してんだ天道!?」 なのはの声と、ガタックの声が重なる。 二人とも同じ様に、驚愕していた。 仲間である筈の男の凶行に。 「うおおぁああああああっ!!!」 しかし、カブトにその声は届かない。 狂った様に走り出して、狂った様に立川を殴る。 苦しそうに呻く立川など意に介さず、殴る蹴るの暴行を続ける。 「おい、やめろ天道! 一体どうしたんだよ!?」 カブトを止めようと、ガタックは後ろ側からカブトを押さえつける。 その隙に海堂が立川の元へ駆け付け、その身を抱え、立ち上がらせた。 立川の腕を自分の肩に回して、ガタックに一瞥。 「おい加賀美ぃ! 俺ぁこいつを連れて逃げる! それでいいか!?」 「ああ、頼む! なのはちゃんも、ここは俺に任せて立川達を助けてやってくれ!」 「えっ……!?」 自分もガタックと共に、カブトを止めたい。 天道との話し合いだって、まだ終わっては居ないのだ。 きちんと話して決着をつけるまで、引き下がる訳には行かない。 そう思ったのだが……どうやら、現状はそんな事を言っている場合ではないらしく。 「うがあああああああっ!!」 「うぐっ……!?」 カブトの拳が、ガタックを張り倒した。 呻きと共に、ガタックの身体がアスファルトを転がる。 拘束から解き放たれたカブトは、真っ直ぐに立川目掛けて走り出し―― ――ONE,TWO,THREE―― ――RIDER KICK―― 絶叫しながら、ベルトのボタンを叩く。 ベルトで生成された高圧力のタキオンが、稲妻となってカブトの身体を駆け巡った。 稲妻がカブトの右脚へと集束され、踏み出す一歩毎に、アスファルトに焼き跡を残す。 奴は、カブトは必殺のライダーキックを、生身の立川に向かって叩き込むつもりだ。 カブトが立川の眼前まで迫る。海堂を突き飛ばし、目の前の生涯を排除。 身を翻し、稲妻に輝く右脚を振り上げ―― 「やめろぉぉっ!! 天道ぉぉおぉぉぉっ!!!」 突如として現れたのは、ガタックであった。 クロックアップで時間を飛び越えたガタックが、両腕を広げ、立ち塞がる。 当然、立川目掛けて振り上げられた稲妻の如きキックは、その軌道上に立つガタックへ向かい。 稲妻が弾ける様な音と共に、ガタックの上半身へと、その右脚が叩き込まれた。 「う……ぐ、うぅ……天、道ぉぉぉ……!」 だが、ガタックは倒れない。 その脚で踏ん張って、今にも倒れてしまいそうな身体を支える。 ワームを一撃で死に追いやる必殺キックの直撃を、ガタックは受けたのだ。 如何にライダーの装甲があると言えど、無事で居られる訳がなかった。 だけど、それでもガタックは引き下がらない。 「なのはちゃんっ……! お願いだ、今のうちに、二人を連れて、出来るだけ遠くへ……!」 「……わかった! ありがとう、加賀美君!」 なのはに、否定は許されなかった。 加賀美新は、身体を張ってカブトの攻撃を受け止めたのだ。 きっと痛かった筈だ。苦しかった筈だ。……否、今だって、立って居るのがやっとの筈だ。 それなのに、加賀美は自分よりも仲間である立川と海堂の事を優先し、その先導をなのはに託した。 となれば、今の自分がやるべき仕事は、「二人を安全な場所まで送り届ける事」の他にはない筈だ。 そう判断してからの行動は早く、滑る様に空中を滑走。 すぐに二人を先導し、工場から離脱した。 「安心して、二人は私が、安全な場所まで一直線に送り届けるから……!」 言いながら眼下の二人を見れば、海堂が携帯電話を取り出していた。 右手で立川の身体を支え、左手で携帯電話のボタンを操作する。 こんな時に何処へ連絡するつもりなのかと、疑問に思った。 「海堂さん、こんな時に電話?」 「ああ、認めたくはねえが、今の俺にはあいつを助ける力がねえ…… けどなぁ、もう何も出来ないのは御免なんだよ。このまま誰かに死なれるのは御免なんだよ! だから俺ぁ、今の俺に出来る事をやる! 今の俺にしか出来ない事をやる!」 海堂の口ぶりを聞いていると、何処か苦しく思えて来る。 聞けば海堂は、かつて共に闘った仲間を、目の前で失ったらしい。 彼はきっと今でも、悔やんでいるのだ。何も出来なかった自分を。見ているだけしか出来なかった自分を。 だから、もうこれ以上誰も犠牲を出さない為に、海堂は電話を耳に当てる。 そして、その電話の相手は。 「おう、乾か! 俺だ、海堂直也様だ!」 乾巧……またの名を、仮面ライダーファイズ。 ◆ ガタックの青い装甲に、カブトの拳が叩き込まれる。 当然、既に満身創痍のガタックに、カブトの攻撃を耐えられる訳がなく。 その身を大仰に仰け反らせて、そこに追撃の回し蹴りを叩き込まれる。 蹴りに弾き飛ばされたガタックは、アスファルトを転がって、それでも立ち上がる。 「ぐっ……天道ぉぉ……正気を、取り戻せ……!」 「うああああああああっ!!!」 しかし、その声は届かない。 絶叫を続けるカブトは、まるで本当に狂ってしまった様だった。 他者の言葉は一切耳に届かず、ただ破壊するだけに戦い、蹂躙する。 そこだけで考えるなら、侵略の意思を持って行動するワームよりも性質が悪い。 だけど、それでもカブトは仲間だ。今までずっと一緒に戦って来た、仲間なのだ。 何としてでもカブトを止めなければならない。 その意思を胸に、もう一度構えを取る。 「ウガァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」 「なっ――!?」 しかし、そんなガタックの前に現れたのは、カブトではない第三者。 銀色の装甲に、銀色の小手。頭から足の先まで、全てが銀の異形。 蠍に似たような姿をしたそいつが、ガタックの仮面を殴り飛ばした。 何とか立ち上がって、銀のワームを視界に捉える。 「お前、剣……! こんなときに……!」 「ウォオオオオオオオオオオオオ!!」 ふらつく足取りで佇むガタックに、銀のワームは肉薄。 一瞬のうちに間合いを詰められたガタックの身体に減り込んだのは、銀の拳だ。 カブトと同等か、それ以上の重みを持ったパンチを受け切れる筈もなく。 軽々と吹っ飛ばされたガタックの身体を、今度はカブトが蹴り飛ばした。 「ぐっ!?」 状況は最悪だ。 カブトもスコルピオワームも、ここで倒す訳には行かない。 二人とも自我を失ってはいるが、加賀美にとっては掛け替えの無い仲間なのだ。 天道と剣を何とか正気に戻したいのだが、自分の現在の体力はそれに伴って居ない。 ライダーキックの直撃を受けた瞬間から、ガタックは既に満身創痍なのだ。 だけど、それでもガタックは一歩も引かないし、弱音も吐かない。 何度カブトとスコルピオワームに殴られようと、絶対に挫けない。 異変は、数度目の激突の後だった。 カブトとスコルピオワームに殴り飛ばされ、地べたを転がるガタック。 それでも立ち上がろうとしたガタックの元へと、スコルピオワームが迫る。 だけど、スコルピオワームは思惑通りにガタックの元へは辿りつけず。 その銀の身体は何者かに弾き飛ばされ、宙を舞った。 「……っ!!」 キキッ、と。ブレーキの音を響かせて、一台のバイクが現れる。 先刻ワームの身体を弾き飛ばした、サイドカー付きの大型バイクだ。 何事かと凝視するガタックの視線の先で、バイクに乗った男がヘルメットを外す。 茶髪で、どちらかと言えば長髪の部類に入る、目鼻立ちのくっきりとした若者だった。 「話は聞いたぜ。あんた達、いい奴らしいな」 カブトとガタックを交互に見遣り、告げた。 グローブを付けたまま、ポケットから携帯を取り出す。 ぴこん、と。携帯電話が起動音を鳴らして、その液晶を光らせた。 型としては少し古い、だけど、独特の空気を持った、銀色の携帯電話。 そのボタンを、グローブ越しに三度押し込み、かしゃんと音を立てて携帯を閉じる。 ――Standing By―― 鳴り響く電子音。 赤く光輝く携帯電話。 そして、男の腰に輝く銀のベルト。 それが意味するのは、彼もまた仮面ライダーだという事実。 「俺の知ってる女の子が、あんた達をどうしても救いたいんだってよ」 手にした携帯を天高く振り上げ、 「だから、こんな所であんた達を死なせやしない……変身っ!!」 高らかに宣言。 携帯電話をベルトに叩き込んだ。 ――Complete―― 電子音を鳴らして、ベルトが赤の光を放つ。 真っ赤な光子は帯となって全身を覆い、男の姿を変えて。 薄暗い工場内を、赤の輝きが覆い尽くした、次の瞬間には―― 「赤い、ライダー……?」 黒のスーツに、銀色の鎧。 赤く輝く帯は、まるで血管の様に身体を駆け廻り。 仮面の半分以上を占めるは、黄色の光を放つ巨大な複眼。 大企業スマートブレインが開発した三つ目のギア、ファイズ。 この無意味な戦いを終わらせる為、ここに赤き救世主が降臨した。 乾巧はここに訪れる途中、とある人物と擦れ違った。 自分をここまで呼びつけた張本人である海堂と、魔法使いの高町なのは。 それから、海堂に肩を担がれた、巧もまだ出会った事のない成人男性が一人。 擦れ違い様にサイドバッシャーを停車させた巧は、ヘルメットを外し、尋ねた。 「おい、お前ら大丈夫だったのかよ」 「私達は大丈夫……それより、早く加賀美さんを助けに行ってあげて!」 問いに、真っ先に答えたのはアスファルトへと降り立った高町なのは。 純白のドレスをふわりと揺らして、空から舞い降りる姿を見れば、確かに魔法使いにも見える。 だけど、それに騙されてはいけない。こいつらの魔法はビームだのレーザーだの物騒なのばかりだ。 と、そんな事はどうだっていい。今はとにかく、現状を聞き出す事が先決だ。 海堂からの電話では、ワームに襲われて、カブトが暴走して、加賀美がピンチという事らしい。 正直言って訳がわからなかったが、誰かがピンチで、今自分の力が必要なのだという事だけは解った。 だから、人間として、ファイズとして戦うと決意した巧は、迷わずにこの場所へ訪れたのだ。 それから、現状に至るまでの話を簡単に聞いた。 立川と海堂が突然ワームに襲われた事。カブト達が助けに来てくれた事。 カブトとなのはの間で口論になるが、話が終わる前に突然カブトが暴走を始めた事。 それらの説明を聞いて、とりあえず加賀美を助け、カブトを止めればいいのだと判断する。 「ああ、わかったぜ。とりあえず、そのカブトって奴をブッ倒しゃいいんだな」 「程程にね……? カブトとは……ううん、天道さんとは、まだ話が終わってないから」 そう言うなのはの表情は、何処か悲しげだった。 巧はまだ、なのはという少女の事をそれ程良くは知らない。 だけど、この少女が本当に優しい少女なのだという事は何となくわかる。 なのはと天道の間に何があったのかなど知った事ではないが……それでも、気になった。 天道がどんな男で、一体彼の何が彼女を思い悩ませているのかを。 「おい、その天道ってのはどんな奴なんだ」 「うーん……どんな人かって聞かれてもわからないけど……」 一拍の間をおいて、 「でもね、天道さんは、前に私達にパンをくれた事があるの」 楽しかった日の思い出を噛み締める様に、なのはは語る。 あの日、焼きそばパンを買えずに落ち込んで居た自分達に、天道がパンをくれた事。 天道はその日、誰一人として悲しませる事無く、その場の全員を笑顔にしたのだ。 アリサも、なのはも、一緒にいた他のメンバーも、全員が幸せになった瞬間だった。 巧の問いに対する答えとしては不十分かもしれないが、それでもなのはは嬉しそうに語った。 「にゃはは……まあ、だから何って言われたらそれまでなんだけど」 「いや、今ので大体分かったぜ」 そう。大体分かった。 結局詳しい事は何一つ解らないけれど。 なのはが天道総司を信じてみたいという気持ち。 そして、加賀美だけでなく天道総司をも救って欲しいという気持ち。 それらは十分過ぎる程、ひしひしと巧に伝わっていた。 そしてこの瞬間、巧が行って戦う理由も出来た。 だから―― 「お前は安心して待ってろ。後は俺が上手くやってやる」 巧はなのはを安心させるように言った。 絶対に出来るという確信は無い。だから約束もしない。 だけど、言葉には出さない約束を、巧は心中で交わした。 この少女を悲しませない為にも、自分が絶対に天道を救うのだと。 揺るがぬ誓いを胸に立て、天道にとっての救世主となるべく。 「うぉぉぉあああああああああああ!!!」 「おい、お前天道って奴だよな!」 我武者羅に振り抜かれたカブトの拳を回避し、肉薄。 カブトの仮面をファイズの仮面が、数センチという距離まで接近。 青の複眼に反射する黄色の複眼を見詰める様に、ファイズが叫んだ。 だけど、その声はカブトの耳には届いていないらしく、何の反応も見せようとはしない。 仮面の下で舌打ちするファイズなど意に介さず、カブトの膝がファイズの胴に減り込んだ。 「……ぐっ!」 「うおおおおおおっ!!!」 体勢を崩したファイズに叩き込まれるのは、カブトによる連続攻撃。 まるで獣の様な動きで繰り出されるパンチが、ファイズの仮面を殴り飛ばす。 一発、二発と仮面を殴られた後で、滅茶苦茶な動きの前蹴りがファイズを蹴り飛ばした。 対処し切れなかったファイズは、もんどりうってアスファルトを転ってゆく。 だけど、その程度の攻撃でファイズの行く手を阻む事など出来はしない。 今の巧には、カブトを止めて天道を救うという目的があるから。 すぐに立ち上がって、もう一度カブト目掛けて走る。 目一杯拳を振り上げて、 「正気を、取り戻せっ!」 カブトの仮面を殴りつける。 ゴツ、と音を立てて、ファイズのグローブがカブトの仮面を揺らす。 だけどそれだけでは中の天道には届かない。巧の攻撃は、まだ届かないのだ。 お返しとばかりに振り抜かれた拳を、ファイズの仮面で受け止めて、それでも足を踏み出す。 「……っ、お前には、待ってる奴が、いるんだろ!」 「ぐっ、うぉぉああああああ!!」 カブトのパンチなど意に介さず、もう一度振り抜いたストレートパンチ。 振り抜いたファイズの拳は、風を切って、カブトの顔面を殴り飛ばした。 お互いの拳がお互いの仮面に入って、それでも二人は一歩も引かない。 しかし、お互いのコンディションは決して互角などでは無く。 ファイズと違って、暴走したカブトに体力の限界は無い。 「うおおあああああおっ!!」 だから、どれ程の攻撃を受けても、カブトは疲れを見せないのだ。 カブトの拳と蹴りが、予備動作すら無くファイズへと叩き込まれた。 仮面と胸部装甲を強かに打ち付けられて、やはりファイズの身体は吹っ飛ばされる。 何とか立ち上がって、もう一度カブトと向き合おうにも、気付いた時には時既に遅し。 「なっ――」 「うぉおおおおおお!」 立ち上がり様に飛び込んで来たのは、乱暴なタックル。 カブトの赤い装甲が、まるで弾丸の様にファイズへと激突した。 当然対処し切る事叶わず、ファイズの身体は勢いそのままに吹っ飛ばされる。 アスファルトをごろごろと転がって、サイドバッシャーに激突した所でファイズの身体は止まった。 「……っ、畜生、あったま来たぜ!」 言いながら、ファイズはサイドバッシャーを支えに立ち上がる。 そのままサイドカーに手を突っ込んで、銀色のトランクボックスを取り出した。 真ん中に「φ」を連想させるグリップが備え付けられたそれは、ファイズの最終兵器。 現在まで殆どの確率でアクセルに出番を奪われ続けて来た、一対一における最強兵装。 そう。これは相手との一騎打ちならば、アクセルにも決して引けを取る事は無い。 使うなら、今だ。今この時を置いて、他にいつ使うというのだ。 ファイズは、それのボタンを押し込み。 ――Standing By―― もう一度、ファイズへの変身プロセスを入力する。 ファイズブラスターと呼ばれるツールが、もう一度変身の為の電子音を掻き鳴らす。 トランクボックスを握り締めて、こちらへ向かい突進するカブトへと向き直った。 ベルトに装着された携帯電話を、今度はトランクボックスに装填。 ――Awakening―― それは“覚醒”を意味する。 選ばれた者だけが変身し得る、最強の姿。 ファイズの黒のスーツを赤く染め上げて、その全身が赤の輝きを放つ。 その輝きには、暴走し、自我を持たぬ筈のカブトですらも本能的に足を止める程。 工場内を再び真っ赤な光に染め上げて、ファイズは最強の姿へと覚醒した。 仮面ライダーファイズ・ブラスターフォーム。 それが今の彼の、真の名前である。 「うおぉおおおおおおおおおおおっ!!!」 カブトの咆哮と共に、鋭い拳が振り抜かれる。 だけどファイズは一歩も引かない。回避をしようとすらしない。 その拳を仮面で受け止めて、だけどファイズの身体はびくともしない。 「はぁっ!!」 「……っ!?」 今度はファイズの番だった。 力一杯降り抜いた拳が、カブトの赤の装甲にぐぐ、と減り込む。 ヒヒイロノカネで出来た装甲に亀裂が入って、カブトの身体を吹っ飛ばした。 当のカブト本人には、今の一瞬で何が起こったのかすら理解出来なかっただろう。 アスファルトを転がって立ち上がったカブトは、混乱した様子で、それでもファイズに向き直る。 その瞳に、ファイズを焼き付け、現状における排除すべき障害と判断。 「おおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」 咆哮と共にアスファルトを蹴って駆け出した。 ファイズは思う。次の一合で、全てが決まる……否、決めてみせる、と。 これ以上誰にも悲しい思いはさせたくないし、天道を苦しませるつもりもない。 その想いを胸に、ファイズは左手に握り締めたトランクボックスにコードを打ち込む。 ――Blaster Mode―― がちゃんと音を立てて、トランクボックスが変型。 グリップを握り締めて、長銃の形になったそれをカブトへと向ける。 右手でグリップを、左手でフォアグリップを一度だけ前後に動かし、弾丸を装填。 装填された光子の弾丸は、一発。この一発で仕留めて見せる。 ――ONE,TWO,THREE―― ――RIDER KICK―― 対するカブトも、考えなしに突っ込むつもりは無いようだった。 ベルトのボタンを三度押し込んで、カブトムシのツノを倒し、稲妻を身に纏う。 例え暴走して自我を失おうと、腐ってもカブト。必殺技の使い方を忘れはしない。 生成されたタキオンの稲妻は、頭上にまで昇って、右脚に集束されてゆく。 そして―― 「うぉおおおおおおおああああああああああああッ!!!」 ファイズの目前まで肉薄したカブトが、その脚を振り上げた。 稲妻を纏った右の足は、必殺のキックとなって、ファイズを襲う。 しかし、同時にファイズが握り締める銃口も、カブトの胴へと押し当てられて。 「――ッ!!」 ファイズが引き金に指をかけた瞬間に、その肩に必殺の蹴りが減り込んだ。 カブトの強力な蹴りによって叩き込まれたタキオンの稲妻が、ファイズの上半身で炸裂する。 ブラスターの装甲を持ってしても、ただでは済まぬその威力に、脚がふらついた。 だけども、倒れはしない。二本の脚でアスファルトを踏み締めて、全身に力を込める。 大きなダメージという名の代償を払ったが、これならばカブトとて逃げられはしない。 なればこそ、賭けに出るならば今を置いて他にあり得ない。 そして、次の瞬間には―― 「ハァッ!!!」 ファイズが、その引き金を引いていた。 「――……ッ!?」 刹那。 真っ赤な光子で出来た弾丸が、炸裂した。 カブトの胴、零距離で炸裂したそれは、一瞬でカブトの身体を吹き飛ばす。 超高圧にまで圧縮された光子は、カブトの装甲を爆ぜさせて―― 「ぐっ……!!」 数メートル後方の壁に激突するや否や、カブトの装甲は消え去った。 真っ赤な装甲は光の粒子となって消え去って、中から現れたのは、一人の青年。 天然パーマに、整った顔立ちの若者――天道総司が、その場にばたりと倒れ込んだ。 ◆ それから数分の間をおいて、ようやく辺りに静けさが戻った。 加賀美新は、ふらつく足取りで、それでも大地を踏みしめて、歩を進める。 カブトから受けたライダーキック。スコルピオワームから受けた数々の攻撃。 それらはガタックの装甲の上から、加賀美の身体を確かに蝕んで居た。 それこそこれ以上続けていたら、本当にタダでは済まなかっただろう。 だけど、スコルピオワームからのトドメの追撃が訪れる事は無かった。 明らかに勝利が確定した状況下で、スコルピオワームが突如として苦しみ出したのだ。 地に倒れ伏すガタックを尻目に、頭を抱えて悶えたスコルピオワームは、そのまま離脱。 ついぞガタックにトドメを刺す事無く、不安定な自分を守る為に逃げ出してしまった。 剣と言う人格と、ワームとしての人格の間で揺れ動く心が生み出した不安定さ。 もしかしたら、剣の人格が、無意識に加賀美を傷つける事を躊躇ったのかもしれない。 実質的に、加賀美の命は神代剣によって危機に晒され、神代剣によって救われたのだ。 重たい身体を引きずって、倒れ伏す天道の元へと歩み寄る。 先程赤いライダーに変身していた若者も、天道のすぐ傍に立って居た。 「あんたのお陰で、助かったよ……名前は?」 「乾巧」 「そうか、ありがとう、巧」 「ああ」 巧は無愛想だった。 だけど、加賀美は巧を悪い奴だとは思わない。 先程の天道との戦いは見ていたし、悪人が天道を助けるとも思えないからだ。 素直に巧への感謝の気持ちを浮かべて、すぐに天道を揺さぶった。 何度か名前を呼べば、ややあって、天道が薄目を開ける。 「加賀美、か……」 「天道……! お前、どうしたんだよ、一体!」 「そうか……俺は、暴走を……」 「暴走!?」 先程までの天道の様子を考えれば、成程暴走という言葉が相応しい。 しかし、カブトが暴走するなどという話は初耳である加賀美にとっては、意味が解らない。 それについて問おうと天道の顔を覗き込むも、それよりも先に起き上がったのは、天道だった。 がばっ! と音を立てて、まだ痛むであろう身体を無理矢理起こす。 「こうしては居られない……!」 それからすぐに眼前の巧に気付いて、 「……俺を止めたのは、お前か」 「まあな……ったく、骨が折れたぜ」 「何故見ず知らずのお前が、俺を助ける気になった」 「さあな」 と、ぶっきら棒に言い放って。 一拍の間を置いてから、面倒臭そうに続けた。 「……あの子が、俺に言ったんだよ」 「何だと……?」 「あんたに、美味しいパンを貰ったってな」 「……そうか」 興味なさ気に呟く天道の表情は、しかし嬉しそうであった。 例え加賀美が、「今の天道嬉しそうだ!」と言った所で誰も理解しないレベルの違いだろうが。 それでも天道は、押し殺した表情の下に、確かに嬉しそうな表情を隠している。 少なくとも加賀美は、そう思った。 「お前、名は何と言う」 「乾巧だ」 「そうか……良く俺を止めてくれた。礼を言うぞ、巧」 不敵な薄笑いを浮かべて天道は告げた。 天道が誰かに礼を言うとは……これ程珍しい事は無い。 驚愕した様子で二人を見遣る加賀美を尻目に、天道は続ける。 「暴走している間、俺は誰を狙って行動していた?」 「覚えてないのか!? お前、俺やなのはちゃんの制止を振り切って、立川にライダーキックまで使おうとしたんだぞ!?」 「俺がそいつに、ライダーキックを……そうか、なるほど、そういう事か」 「おい、どういう事なんだよ!?」 自己解決で話を進めるのは、天道の悪い癖の一つだと思う。 毎度ながら周囲にいる者には、その状況が全く伝わって来ないからだ。 苛立ちを含んだ声色で天道の襟を掴むが、すぐにその手は振り払われて。 「この謎を解くには、その立川とか言う奴に会いに行かなければならん」 「なら、俺も行く」 「お前は駄目だ」 「何でだよ!?」 「そんな身体で何が出来る」 言われて、気付く。 確かに今の加賀美は、心身共にボロボロだ。 カブトのライダーキックの直撃を受けて、スコルピオワームに蹂躙された。 現に今だって、天道の元まで歩み寄るだけでも足元がふら付いていた。 それを考えれば、確かに今の加賀美に戦えと言うのは酷な話だ。 「でも、俺だって真実を知りたいんだ!」 「……なら、勝手にしろ」 嘆息一つ落として、諦めた様に告げた。 こうなった今の加賀美は、天道の話など聞きはしない。 それを天道自身も理解しているのだろう。それ故の判断だった。 天道は不意に巧へと視線を移して、問いかける。 「お前はどうする」 「俺にはあんた達の事情なんて関係ない」 「ああ、そうだな。ならこのまま帰るか」 「嫌だね。確かに俺は無関係だが、俺の仲間が一緒に襲われてんだ。 第一、ここまで関わって後は知らんぷりなんて出来るかってんだ」 「そうか。なら決まりだな」 それだけ告げると、天道は立ち上がった。 薄笑いを浮かべるその表情は、巧の返答に対してなのかもしれない。 加賀美は思う。天道は恐らく、巧の事を仲間として気に入ったのではないかと。 思えば天道は、大介に対してもこんな優しい笑みを浮かべる事が何度かあったから。 そして、天道がこういう顔をする相手は、殆どの確率で悪い奴ではない。 だから巧の肩に寄りかかって、加賀美もまた、不敵に笑う。 「おいお前、やっぱり帰った方がいいんじゃねえのか。フラフラじゃねえか」 「大丈夫だ、問題ない!」 意地を張って、加賀美は叫んだ。 その絶叫が身体に軋みを与えるが、気にしない。 それくらいは多分、根性で何とかカバー出来る事だろう。 戻る 目次へ 次へ